2004年 09月 23日
![]() ![]() ここで、「ほんとはチョウなのに、ガだと勘違いされてなんか気の毒だなー」と、つい思ってしまうのは、やはり「チョウ」と「ガ」では天と地ほどのイメージの違いがあるからだろう。人間が勝手に区別しているだけで、当人(←という表現はなんかヘンだ)たちにとってはどうでもいいことなのだが、どちらに区別されるかによって当然扱いも違ってくるので、場合によっては生死を分ける事態になりうるかもしれないし(……というところまではいかないか?)。 だが、意外にも、それだけイメージの違いがありながら、チョウとガを区別する定義は実ははっきりしていない。例えば、触角の形や色彩、翅を広げて止まるかたたんで止まるかなど、外形的な特徴の違いや、昼間飛ぶか夜飛ぶかなど、行動様式の違いが挙げられるが、必ず例外の種があり、明確な線引きをすることはできない。そもそも、チョウとガはわざわざ分類する必要もないくらい近い仲間で、言語によっては、チョウとガを区別していない場合もある。フランス語ではどっちも「パピヨン」だ。 種類としては、ガの方が圧倒的に多い。日本産のチョウは237種ということだが、ガは5,535種もいるそうである。ずいぶんアンバランスな分け方をしたものだなあ、と思った次第。 ■
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by terrarossa
| 2004-09-23 07:00
| いきもの
2004年 07月 22日
![]() 日本のスズメは、農作物の害鳥として駆除の対象になってきた経緯もあって、警戒心が非常に強く、なかなか至近距離での観察はできない。 (余談になるが、日本のスズメはしたたかだ。以前勤務していた所の試験用水田では、出穂した稲を食害されないよう、田んぼに防鳥網を張っていたが、スズメどもはすぐに自分の体より狭い網目へ勢いをつけて入り込むことを覚えた。で、これなら無理だろうと更に目合いを細かくすると、なんと集団で網の上に乗っかって、稲穂に届くよう、自分たちの重みで網を下に沈めるということをマスターしたのだ。恐るべき「学習スズメ」である。) ロンドンには田んぼもないし、従って人間がスズメを排除する理由も捕獲する理由もないだろうから、スズメの警戒心も薄いのだろう。いや、スズメばかりではない。他の野鳥や動物についても、物理的に近く感じるのだから、かの国でいかに彼らが大事に扱われているのかが非常によくわかる(スズメに関しては、もしかしたら都市圏に限ってかもしれないが)。こればっかりはごまかしがきかないだろうし。 では、ロンドン以外ではどうなのだろう? ![]() 台北・二二八公園にて、水たまりでぴゃあぴゃあはしゃいでいたスズメの集団(の一部)。きちんと水浴びの順番待ちをしていたのが面白かった。ここでも、ものすごく近寄ってストロボ撮影したのだが、逃げる様子はなかった。 ここのスズメは来園者によって餌付けされていたので、同じ台湾でも農村地区など他の場所とは若干事情は違うのかもしれない。 ![]() 北京・天安門広場の向かって右側にある、労働人民文化宮にいたスズメ。ここのは、「間合いが近い」というより、ウエイトが重すぎて反応が鈍い、と言った方が正しいのかもしれない。寒くて膨らんでいるのではない。その足取りたるや「どすどすどす」という表現がよく似合う、ラブリーな太っちょスズメたちなのであった。冬季、寒さが厳しい北京では、脂っこい食べ物が多いので、そのおこぼれにあずかっている関係上、こいつらもきっと脂っこいものばっかり食っているのだろうと推察。 どこへ行ってもスズメはヒトの近くで生息しているけれど、ところ変われば、いろんな違いがあるのだなあ。 ■
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by terrarossa
| 2004-07-22 02:08
| いきもの
2004年 07月 09日
![]() さて、写真の昆虫は「ラミーカミキリ」という名称の小さなカミキリムシである。青みがかった白と、黒とのコントラストが非常に美しい虫なのだが、初めて見た時、「なんじゃこりゃあ?」と驚いたのなんの。絶対にそんなことはないが、まさかウケ狙いでこの模様に?という疑いが、一瞬まじで頭の中を駆けめぐってしまった。この柄、どう見ても、帽子をかぶってタキシードを着た人形ではないか。 彼らの食料はイラクサ科の植物だから(偶然にも、以前とりあげたフクラスズメと同じだ)、獲物を捕らえる手段ではなさそうだし、オスもメスも同じ模様だから、繁殖相手を惹きつける目的でもなさそうだ。一番考えられそうな理由が、敵の目を欺くため(驚かすほう)なのだが、彼らを食料とする鳥や獣に対して、この柄のインパクトがなんぼのもんかは、人間の自分にはよくわからない。 ということで、真相は謎である。 何はともあれ、激しい生存競争の中、こんな具体的で楽しい模様で、彼らにとってなんの利益ももたらさない人間まで感動させてくれるサービス満点ぶりに、とりあえず感謝。 ありがとう、ラミーカミキリ(←感謝されてもうれしくないだろうが)。 ■
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by terrarossa
| 2004-07-09 16:41
| いきもの
2004年 07月 04日
![]() ただ、このような形状のダイコンは、「規格外品」となり廃棄されるため、まず一般市場で見かけることはない。 野菜の多くは、最初に箱や鉢に種まきをし、苗を育ててから畑に植える。その方が効率的で、よく育つからだ。ダイコンと同じアブラナ科野菜でも、キャベツやブロッコリーは、連結ポットなどで苗を育てて、ある程度大きくなってから畑に移植するのが一般的な技術となっている。 しかし、ダイコンなど根を食べる野菜のほとんどは、じかまき(直接畑に種をまくこと)を行う。 ダイコンは発芽すると、まず、根が縦にまっすぐ伸びていく(これを「直根」と言う)。この部分がいわゆるダイコンの食べる部分となっていく。小さな容器(鉢など)で苗を育て、その後移植する方法では、直根が曲がったり傷んだりして、まともなダイコンができないのだ。 ダイコンを育てる時の注意点は、畑をよく耕すこと。根がまっすぐ深く伸びるよう、深く耕さなくてはいけない。さらに、土に混ざっている小石やゴミなどをよく取り除くことが重要である。 では、よく耕していなかったり、小石やゴミなどがたくさん混入している畑で大根を栽培すると、どうなるか。 直根は、硬い部分に当たるとそれを避けて曲がったり、硬い部分が小石などごく小さいものである場合は、そこを境に枝分かれして伸びてゆく。 ということで、いわゆる「二股ダイコン」、上の写真のようなダイコンができる。 ちなみに、プロの生産現場でこのようなダイコンが出現するのは、せいぜい数パーセントといったところである。こんなダイコンばかりでは、形状的には面白くても、ちっとも収益に結びつかない。 いや、いっそのこと「二股ダイコン」を売りにするというのはどうか、という考えもあるだろうけど、残念なことに、いくら畑を石だらけにしても、美しい(?)二股ダイコンは狙ってできる訳ではない。 写真のダイコンは、収穫中のところをかけずり回って、ハーベスタ(収穫機)にかかって葉が切断される直前のところを回収し、水洗いして撮影した。収穫すると葉はすぐにしおれてしまうので、上のような姿が撮影できるのはごく短い時間に限られる。 なお、撮影後は何人かで分け、おでんにみそ汁にと、すべておいしくいただいた。当然、食味は規格内のダイコンと変わらない。 ■
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by terrarossa
| 2004-07-04 23:30
| いきもの
2004年 06月 28日
せっかくたくさん収穫できたというのに、味見してもらった人全員に「もういらない」と言われ、写真撮影の後、仕方なく処分したハバネロ(2001年撮影)↓
![]() 日本では、ごくごく最近「暴君ハバネロ」という名のスナック菓子が話題になったり、イタリアンレストランなどでこの品種を使ったソースが置かれるようになったりして、一気に知名度が上昇したようだ。 それにしても「ハバネロ」、今頃ブレイクするとは。 「ハバネロ」という品種を知ったのは、今から8年ほど前のこと。大阪のとある種苗会社のカタログに「辛さのあまり失神者続出!」とかいう、とんでもないあおり文句と共に紹介されていたのを見たのが最初だった。ほんとかよ?と半信半疑になりつつも、好奇心から種を購入し、栽培してみた。 さて、そんな「ハバネロ」の果実ときたら、形はトウガラシというより、小さめのピーマンのような可愛らしいハート型。表面はプラスチックのつくりものを思わせるツヤツヤの美しい光沢を持ち、未熟果は緑色、熟すると明るいオレンジ色になる。しかもほんのり甘い香りすら漂ってくるではないか。 だが、この一見ラブリーな外見と香りに騙されてはいけない。 まず、収穫しながら辛さにむせる。この時点で既にただ事じゃない。しかし人に紹介するには、まず自分が口にせねばと、思い切ってかじってみる。んん?なんだこの妙にフルーティーな香りと甘味は?やっぱり日本で作ったのは辛くないのかなあ。ははん、大したことないじゃーん!(←この間3秒)と、気が緩んだ瞬間。 来た来た来た来たぁぁぁぁ!うおぁおおぉぉおぉっ! はっきり言ってこれは凶器以外の何者でもない。反則技だ。試合開始のゴングと同時にパイプ椅子が出てきたようなもんだ。 「激辛」ではない。「激痛」だ。口の中だけではない。包丁で刻んだら手が痛くてたまらない。こりゃかなわんと石けんで念入りに手を洗った後もまだ続く痛み。指を舐めれば(よせばいいのに)再び舌を襲う猛烈な辛味、いや痛み。そのように凶器と化した手で顔を触ったり、まして目などこすったり、小用を足しに行ったりするのはもっての外である。 かように劇的でありながら、フルーティーなテイストも備えている魅惑の辛さ(?)が特徴のハバネロ。そのまま料理に入れたり、ソースに加工したりするのが一般的な利用法だ。ところで世の中は韓国ブーム、ハバネロを使った激辛キムチなんてどうだろう、と思ったのだが、この品種は肉厚でオレンジ色をしているため、乾燥品には向かない(乾きにくい上、色が悪い)し、独特の甘ったるい香りもキムチには合わない。ハバネロキムチ、もしあったとしてもあんまり食べたくないなあ(トッポッキあたりだったら使えるかもしれない)。 野菜一般に言えることだが、メキシコの品種はメキシコ料理に、韓国の品種は韓国料理に、というのが最もふさわしい使い方なのだろう。なぜその国でその品種が栽培されているか、というのには必ず理由があるのだ。 余談だが、そんな超弩級に辛いトウガラシでさえも、ばりばり食べる奴らがいる。その強者の名は、農業害虫界の王者(の一員)、オオタバコガ幼虫。果実に大穴を空けて、その中でぼってりと丸まっている姿を発見した時、「こいつらの味覚って一体……」と言葉を失うことしばし。さすが王者の名に恥じない食いっぷりであることよ(……などと感心してる場合じゃないんだが)。 ■
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by terrarossa
| 2004-06-28 03:31
| いきもの
2004年 06月 04日
![]() 「フタナミトビヒメシャク」属するシャクガ科の幼虫は、直立して微動だにしなくなることで外敵の目を欺き、自分の身を守るのだが、同じガの仲間でも全く正反対の行動で身を守ろうとする者がいる。それが「フクラスズメ」(写真参照)。「ヤガ科」という大きなグループに属するガである。食草はイラクサ、カラムシなど。人間の勝手なイメージからすると、どっちにしてもいがらっぽくて不味そうなゴハンのように思えるが…… 「ふくら雀」などという非常にかわいらしい名前を持っているにもかかわらず、幼虫はご覧のとおり、実に禍々しい外見である。毒は無いのだが、老齢幼虫の体長は7㎝にもなるので、虫があまり好きでない人なら絶対にお近づきになりたくない類のコワモテくんであること間違いなし。 その彼らがとる、シャクガ科の幼虫とは正反対の行動。 仰け反って、ブルブル体を揺らして、威嚇するのだ。禍々しさ倍増である。 これがしばしば大発生し、そうなるとそこいらじゅうで仰け反った幼虫が一斉にブルブルするのだ。ブルブルするたびに藪全体がガサガサ動くシュールな光景は一見の価値あり!(←マジです) 脅かす度に必死でブルブルするその姿は、見慣れてみるとなかなか健気ではある。だがしつこく構っていると、疲れてくるのか、あんまりブルブルしなくなる。ハッタリかまして虚勢を張るのは物凄いストレスなのかもしれない。お疲れ様。 ■
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by terrarossa
| 2004-06-04 02:05
| いきもの
2004年 05月 25日
「それ」を行っているようなのだが、理由はよくわかってないらしい。
ちなみに誰のことかと言うと、人ではなく、「フタナミトビヒメシャク」というガ(蛾)の幼虫のある行為についての話である。 本種はシャクガ科の仲間で、いわゆる「シャクトリムシ」と呼ばれているグループに属する。その名の通り、幼虫は細長く、尺を取るように歩くという特徴がある。フタナミトビヒメシャクの若齢幼虫は、シャクガ科の幼虫の中でも特にスリムな体型で、芋虫というよりは、まるで針金か糸が歩いているように見える。 また、この仲間は、何かに驚くと、直立して動かなくなるという習性を持っている。小枝に擬態して敵の目を欺くのが目的のようだが、葉の中央とか、建物の塀など妙な場所でかたまっていると、かえって目立ってるぞオイ、と声をかけてやりたくなる。なんだか逆に「私は虫じゃないでーす、動いてませーん、あなたの餌ではありませーん」と必死に自己主張しているようにも見えて、それはそれで微笑ましい(や、彼らにとっちゃ命の危機なんだから、別に微笑ましい事態ではない)。 「フタナミトビヒメシャク」という舌を噛みそうな名前を持ってはいても、特に珍しい種類ではないし、食草の種類も多いので、ちょっと気をつけていれば割と色々なところで見かけることができるというのも、うれしい限りである(うれしくない人の方が多いかもしれない)。 実はこの「フタナミトビヒメシャク」、くすんだ黄緑色の糸くずみたいなのが規則正しく尺を取って歩く姿や、ぴっしー!とまっすぐ硬直して必死にカムフラージュする様は、もうそれだけで十分楽しいものなんだが、さらに驚くべき奇妙な習性を持っていたのであった。 自分がまだ学生だった頃の話。小さな鉢植えに、細長いシャクトリムシがくっついていたので、当時所属していた研究室の実験台の隅に、鉢ごと置いて様子を見ることにした。何日か経ったある日、何も置いていない実験台の中央に、不審な黒い粒子がぱらぱらと落ちていることに気付いた。それは明らかに虫の糞だった。鉢植えは隅に置いてある。シャクトリムシは鉢植えの中で、黙々と葉を食べている。こんなところまで虫が来るわけないし、と思いつつもう一度シャクトリムシの方を見たその時、決定的な瞬間が目に飛び込んできた。 頭を肛門の方へぐいっと曲げたかと思うと、ぴしっと反り返って自分の糞を弾き飛ばしたのである。 それをいちいち脱糞のたびにやっているのである。 体長約5㎝にしてその飛距離、約40㎝。(←あとで計った) 後に、このシャクトリムシが「フタナミトビヒメシャク」であることを知ったが、自分の糞を飛ばす習性がある、という記載のあった文献は、当時(約15年前)、2冊ほどしかなかったと記憶している。あの決定的瞬間を目撃した者は、意外とごく少ない人数なのかもしれない。 自分の在処を敵に知られないようにするための行動である、という説が有力に思えるが、では何故フタナミトビヒメシャクだけがこのように特異的な習性を持っているのか、理由はわかっていないとのことである。いちいちあれだけの事をやるんだから、何か訳があるに違いないんだろうが…… ■
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by terrarossa
| 2004-05-25 02:56
| いきもの
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自己紹介
ハンドルネーム:テラロッサ
身分:社会人(農業関係) 関心事:サッカー、虫、植物、地理、 映画、音楽 時々:絵を描く、写真を撮る、旅行する ハンディキャップ:筋金入りの下戸 座右の銘:結果オーライ 将来の目標:空を飛ぶ ライフログ
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