2004年 07月 22日
海外スズメ事情
a0021929_1423639.jpgロンドンへ行って驚いたのが、何よりもまず鳥との距離の近さだった。特にスズメには驚いた。そばに近寄っても逃げないのだ。左の写真はロンドン塔付近で撮ったスズメだが、至近距離でストロボ撮影してるというのに、このアッパレな落ち着きぶりはどうだろう。
 日本のスズメは、農作物の害鳥として駆除の対象になってきた経緯もあって、警戒心が非常に強く、なかなか至近距離での観察はできない。
(余談になるが、日本のスズメはしたたかだ。以前勤務していた所の試験用水田では、出穂した稲を食害されないよう、田んぼに防鳥網を張っていたが、スズメどもはすぐに自分の体より狭い網目へ勢いをつけて入り込むことを覚えた。で、これなら無理だろうと更に目合いを細かくすると、なんと集団で網の上に乗っかって、稲穂に届くよう、自分たちの重みで網を下に沈めるということをマスターしたのだ。恐るべき「学習スズメ」である。)
 ロンドンには田んぼもないし、従って人間がスズメを排除する理由も捕獲する理由もないだろうから、スズメの警戒心も薄いのだろう。いや、スズメばかりではない。他の野鳥や動物についても、物理的に近く感じるのだから、かの国でいかに彼らが大事に扱われているのかが非常によくわかる(スズメに関しては、もしかしたら都市圏に限ってかもしれないが)。こればっかりはごまかしがきかないだろうし。

では、ロンドン以外ではどうなのだろう?
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 台北・二二八公園にて、水たまりでぴゃあぴゃあはしゃいでいたスズメの集団(の一部)。きちんと水浴びの順番待ちをしていたのが面白かった。ここでも、ものすごく近寄ってストロボ撮影したのだが、逃げる様子はなかった。
 ここのスズメは来園者によって餌付けされていたので、同じ台湾でも農村地区など他の場所とは若干事情は違うのかもしれない。


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北京・天安門広場の向かって右側にある、労働人民文化宮にいたスズメ。ここのは、「間合いが近い」というより、ウエイトが重すぎて反応が鈍い、と言った方が正しいのかもしれない。寒くて膨らんでいるのではない。その足取りたるや「どすどすどす」という表現がよく似合う、ラブリーな太っちょスズメたちなのであった。冬季、寒さが厳しい北京では、脂っこい食べ物が多いので、そのおこぼれにあずかっている関係上、こいつらもきっと脂っこいものばっかり食っているのだろうと推察。

どこへ行ってもスズメはヒトの近くで生息しているけれど、ところ変われば、いろんな違いがあるのだなあ。
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# by terrarossa | 2004-07-22 02:08 | いきもの
2004年 07月 17日
ユジノサハリンスクからポロナイスクへ その3
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ユジノサハリンスクは、カラスと野良犬だらけだった。

 とは言っても、ここでは恐らく犬をつないで飼うことが少ないだろうから、そこらへんにうろうろしている犬をすべて野良犬と言うのは、間違っているのかもしれない。
 ユジノサハリンスクの駅前を歩いていると、物欲しげに近寄ってくる犬がいた。こちとらロシア語がさっぱりわからず、ピロシキひとつ買うのも苦労している身、犬にやるようなものは生憎と持ち合わせていない。悪いねえ、と頭をなでてやったが、餌もやらずにそんなことをするのは実に危険な行為だったことに後で気付く。……そうだ、こいつら絶対に狂犬病の予防注射なんかやってねえよ。
 大きさも見てくれも実に様々な犬が、群れになってゴミをあさり、時には犬同士で派手に喧嘩している。さすがに恐くて近寄れない。カラスも同様で、実に傍若無人な振る舞いだ。形態からして、どうやら日本の都市部に多いハシブトガラスと思われる。
 わかりやすい弱肉強食の世界。気候も厳しいだけに、なおいっそう生存競争は熾烈を極めているようだ。人間の方も、自分自身の生活やら何やらが厳しくて気が回らないのか、これだけの野良犬とカラスにもさほど関心を持ってるようには見えない。ゆえに、ゴミ置き場は荒らされ放題で、それを片づける者も居ない。ロシア人は動物好きと言われているが、迷惑きわまりない彼らに対しても寛容なのか(それとも単に駆除対策の予算が取れないので放置しているだけなのか)。お互い生きることが厳しい者同士、奇妙な共存すら成り立っているようにも見えたが、本当のところはどうなのだろう。
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# by terrarossa | 2004-07-17 03:48 | 見聞録
2004年 07月 09日
タキシードで正装
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 自然界には「なぜこのような柄に?」と考え込んでしまう不思議な模様を持つ生き物がけっこういる。もちろん、たいがいはちゃんと理由があって、敵の目を欺くため(驚かす・身を隠す)か、獲物を確実に捕らえるため(身を隠す)か、繁殖相手を惹きつけるためであることが多い。

 さて、写真の昆虫は「ラミーカミキリ」という名称の小さなカミキリムシである。青みがかった白と、黒とのコントラストが非常に美しい虫なのだが、初めて見た時、「なんじゃこりゃあ?」と驚いたのなんの。絶対にそんなことはないが、まさかウケ狙いでこの模様に?という疑いが、一瞬まじで頭の中を駆けめぐってしまった。この柄、どう見ても、帽子をかぶってタキシードを着た人形ではないか。
 彼らの食料はイラクサ科の植物だから(偶然にも、以前とりあげたフクラスズメと同じだ)、獲物を捕らえる手段ではなさそうだし、オスもメスも同じ模様だから、繁殖相手を惹きつける目的でもなさそうだ。一番考えられそうな理由が、敵の目を欺くため(驚かすほう)なのだが、彼らを食料とする鳥や獣に対して、この柄のインパクトがなんぼのもんかは、人間の自分にはよくわからない。
 ということで、真相は謎である。

 何はともあれ、激しい生存競争の中、こんな具体的で楽しい模様で、彼らにとってなんの利益ももたらさない人間まで感動させてくれるサービス満点ぶりに、とりあえず感謝。
 ありがとう、ラミーカミキリ(←感謝されてもうれしくないだろうが)。
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# by terrarossa | 2004-07-09 16:41 | いきもの
2004年 07月 04日
家族の肖像
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 上の写真にご登場いただいたモデルさん達は、「耐病総太り」という品種のダイコンである。ごくごく普通に出回っている青首大根の一品種で、別に珍しいものではない。
 ただ、このような形状のダイコンは、「規格外品」となり廃棄されるため、まず一般市場で見かけることはない。

 野菜の多くは、最初に箱や鉢に種まきをし、苗を育ててから畑に植える。その方が効率的で、よく育つからだ。ダイコンと同じアブラナ科野菜でも、キャベツやブロッコリーは、連結ポットなどで苗を育てて、ある程度大きくなってから畑に移植するのが一般的な技術となっている。
 しかし、ダイコンなど根を食べる野菜のほとんどは、じかまき(直接畑に種をまくこと)を行う。
 ダイコンは発芽すると、まず、根が縦にまっすぐ伸びていく(これを「直根」と言う)。この部分がいわゆるダイコンの食べる部分となっていく。小さな容器(鉢など)で苗を育て、その後移植する方法では、直根が曲がったり傷んだりして、まともなダイコンができないのだ。
 ダイコンを育てる時の注意点は、畑をよく耕すこと。根がまっすぐ深く伸びるよう、深く耕さなくてはいけない。さらに、土に混ざっている小石やゴミなどをよく取り除くことが重要である。
 
 では、よく耕していなかったり、小石やゴミなどがたくさん混入している畑で大根を栽培すると、どうなるか。

 直根は、硬い部分に当たるとそれを避けて曲がったり、硬い部分が小石などごく小さいものである場合は、そこを境に枝分かれして伸びてゆく。
 ということで、いわゆる「二股ダイコン」、上の写真のようなダイコンができる。
 ちなみに、プロの生産現場でこのようなダイコンが出現するのは、せいぜい数パーセントといったところである。こんなダイコンばかりでは、形状的には面白くても、ちっとも収益に結びつかない。
 いや、いっそのこと「二股ダイコン」を売りにするというのはどうか、という考えもあるだろうけど、残念なことに、いくら畑を石だらけにしても、美しい(?)二股ダイコンは狙ってできる訳ではない。

 写真のダイコンは、収穫中のところをかけずり回って、ハーベスタ(収穫機)にかかって葉が切断される直前のところを回収し、水洗いして撮影した。収穫すると葉はすぐにしおれてしまうので、上のような姿が撮影できるのはごく短い時間に限られる。
 なお、撮影後は何人かで分け、おでんにみそ汁にと、すべておいしくいただいた。当然、食味は規格内のダイコンと変わらない。
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# by terrarossa | 2004-07-04 23:30 | いきもの
2004年 07月 03日
ユジノサハリンスクからポロナイスクへ その2
a0021929_21535.jpg 地平線をどこまでも縁取る落葉松の林が、ぐんぐん近づいてきた。小さなプロペラ機は着陸もあっという間だ。

 首都モスクワからはるか遠く離れた「最果ての州都」の滑走路に、タラップが降ろされる。憂鬱な曇天の空が、頭上に重苦しく広がっている。刺すような冷たさの風には霙がまじっていた。サハリンはもう冬なのだ。
 フロントガラスが派手に割れた油臭いバスにぎっしり押し込まれ、空港の建物に運ばれる。以前行ったモスクワでも、トルクメニスタンのアシガバードでも、チャルジョウでも、乗車したバスのフロントガラスには、ことごとく大きなひびが入っていた。ここでも同様ということは、これが旧ソ連邦の「お約束」なのかと勘繰りたくもなる。

 駅に背を向けて、いまだに堂々と立っているレーニン像のそばに、予約したホテルはあった。「ルィバーク・ホテル(訳すと「漁師ホテル」と言うらしい)」という名の安ホテルは、サハリンを訪れる日本人には滅多に利用されていないとのことだった。なるほど、フロントのおねえさんは日本語どころか英語も全く通じない。この時点で、ロシア語が一言もできないで一人旅をすることの無謀さにあらためて気付く。が、今更後悔したところで、どうにもならない。持参した「ロシア語会話集」を指さしながら何とか意思疎通をはかる。
 質素な部屋はがらんと広く、いかにも大味な「ロシアのホテル」といった風情だった。こんなに部屋は広いのに、家具とベッドは異様に小さく、特にベッドは、函館空港へ行くために乗車した「北斗星」のB寝台のほうがまだましかと思えるほど、幅が狭かった。これでは寝返りもうてないではないか。
 一方、何も入ってない冷蔵庫だけはやたら大きかった。以前宿泊した別な都市でのホテルでも全てそうだったのだから、これも旧ソ連流と言うべきか。
 背もたれのない長椅子のような狭いベッドに横になり、本日の記録をメモしていると、突然ばちんと音がして明かりが消えた。停電だった。五分ほどして、明かりがついた。が、更に十五分後、再び停電が五分間。やれやれと思っていたら、三十分後にまた停電。時刻はというと、夜八時を回った頃。ゴールデンタイムである(ロシアにもゴールデンタイムってあるのだろうか?)。電力不足のための計画的な停電というにしては、あんまりな時間帯だ。これでは、バッテリーのついてないパソコンなど、絶対に使えない。この街のオフィスでは、突然の停電に備え、さぞかし厳重な対策をとっているに違いない(と、思いたい)。少なくとも自家発電装置は不可欠だろう……

 停電続きだし、疲れを翌日に持ち越すのは良くないと思い、さっさと眠ることにしたが、どうも落ち着かなかった。この「落ち着かなさ」が、低周波音が全く聞こえてこないためだと気付くのに、しばらく時間がかかった。自分はこんな所で、蛍光灯、冷蔵庫、空調に至るまであらゆる低周波音に囲まれて日常を過ごしていたことに初めて気付かされたのだった。さほど遅い時刻でもない。しかもここは市の中心部で駅前なのだ。まさか耳鳴りがするほどの静けさに悩まされるとは思ってもみなかった。
 
 霙は、夜半に雪へ変わったらしい。
 いっそう静かな夜に押しつぶされようにして、いつしか眠りに落ちていた。
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# by terrarossa | 2004-07-03 02:16 | 見聞録