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2008年 10月 30日
曾祖父の足跡をたどる その一
 現地で試合観戦したレバークーゼンが、たいへん調子良い。現在暫定ながら首位。そして直接お会いしたマヌエル・フリードリッヒ選手が、なんと二試合連続ゴールを決め、さらにそれらの試合では、本業であるディフェンスにおいても無失点と、なんだか絶好調の模様。まさに「今後なおいっそうのご活躍」で、うれしくなると同時に、なんかこう、こっちも仕事頑張んなきゃな、というアゲアゲな気持ちになってくる(だからといってすぐに成果が出るような業種じゃないのがつらいところだが……や、地道にやっていこう)。

 今回のドイツ行きの目的は、サッカー観戦以外にもうひとつあった。実は「明治中期にドイツへ留学していた曾祖父の足跡をたどる」というミッションが科せられて(?)いたのだ。
 曾祖父は明治終期に若くして亡くなり、その末子である祖父も早世したので、どちらも自分は全く知らない。現在存命中の親戚で曾祖父を直接知る人は誰もいないが、現在、叔父が曾祖父(叔父にとっては祖父)について色々と調べているところだ。
 曾祖父はもともと会津藩の出身だという。幼少の頃実父を亡くし、間もなく始まった戊辰戦争によって母と姉と共に斗南に移住、その地で母も喪った。その後、函館に渡って医師の養子となり、自らも医学の道を志すことになった。
 ……というふうに、アウトラインの部分はわかっているのだが、それらひとつひとつについて掘り下げようとすると、途端に謎だらけになってしまう。晩年、曾祖父は函館で開業医をしていたが、その病院は二度の大火に遭っており、そのため当時の個人的な記録などはほとんど残っていない。過去帳もない。
 それでも、当時の新聞記事や文献などを丹念に調べた結果、ほんのわずかながら曾祖父のたどった道が見え始めてきた。叔父の調査はまだ続いており、こちらも調べものは嫌いではないので、時間があるときは図書館に通い、ゆかりの地だと思われる場所を訪れ、ルーツ探しに加わっていたところだった。
 そういうタイミングで、あくまでも「サッカー観戦」のための(ノリと勢いだけの)ドイツ旅行決定。叔父がこの好機を見逃すはずがなかった。即、連絡が入る。「向こうでなんでもいいから見つけてきて」。あのうドイツ語が全くできないばかりか英語もうっすらというワタクシに一体なにを見つけてこいと?

 ……かくして、曾祖父のドイツ留学から120年後、ひとりのぼんくらな子孫が、かの地を訪れる時が来たのだった。

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「かの地」ヴュルツブルク。登っちゃいたくなる気持ちがよくわかる眺めのすばらしさ。
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by terrarossa | 2008-10-30 00:01 | 見聞録 | Comments(4)
2008年 10月 26日
ドイツに泊まる
 ドイツ行きに当たっては、地理もわからず言葉もできない旅行者なので、それなりのホテルには泊まりたい、と思っていた。が、そのホテルが高すぎるのだ。特に大きな都市では、様々な見本市(メッセ)が開催されるので、メッセ開催期間中になると、料金がバカみたいに高くなる。そしてついこの間までのユーロ高。とてもじゃないが予算オーバーで、通常のホテル宿泊は断念せざるをえないことになった。
 ホテルが高いと感じているのは当のドイツ人も同じらしく、旅行者が宿泊するための様々なシステムあることを知った。B&B(ベッド・アンド・ブレックファースト)というのがその一つ。いわゆる「ベッドと朝食」を提供してくれる部屋を紹介してくれる。昨年のミュンヘン、今回のヴィースバーデンとも、この「B&B」のシステムを利用したが、宿泊先が、日本で言うところの民宿とはかなりイメージが違う。
 ミュンヘンでは、まったく普通の家庭の空き部屋を使わせてもらい、食事も家族や他の滞在者と一緒の、有料のホームステイのような感じだった。その家には、出張に旅行にと、様々な目的で入れ替わり人が泊まりに来ていた。宿泊費をもらい、それが生活費の足しになるとはいっても、見知らぬ他人をオープンに受け入れるその姿勢には少々驚いた。
 今回は、フランクフルトでそういった適当な部屋が見つからず、ヴィースバーデンの、アパートメントスタイルの部屋を借りることにした。
 このB&Bのシステムでは、インターネットサイトにたくさんの宿泊施設の場所、部屋の状況、アメニティ、食事提供の有無などの詳しい情報が掲載されている。宿泊申し込みをすると、サイト管理者がこちらが希望した宿泊先に問い合わせをし、宿泊可能かどうか知らせてくれる。宿泊可能の連絡が来て、正式に申し込みをすると、サイト管理者から、宿泊先の個人アドレスが送られてくる。あとは当人同士でやりとりしてね、ということなのだが、ここで言葉の大きな壁が……
 かといって今さら高いホテルには泊まるつもりはない。となれば昨年の苦労と疲労再びか……昨年同様、旅行日程と簡単な自己紹介文の作成だけだというのにべらぼーな時間を浪費。困難を極める中、先方と何度かメールをやりとりしてという、語学力ゼロの自分にとっては極めてハードな準備期間を乗り越え、いよいよ初めての町、ヴィースバーデンへ。

a0021929_4471677.jpg入口。外観はかなり古い建物。泊まった部屋は2階。

a0021929_4474780.jpgバスルーム。内部は改装されてぴっかぴか。美しい!

a0021929_448854.jpgうちのアパートより広い部屋。冷蔵庫、三つ口のコンロにオーブン、食器洗浄機までついたキッチン。鍋、フライパン、包丁などのキッチンツール完備。4~5人はもてなせるほどの食器、コーヒーメーカーもあった。ここまで台所が完璧だと、どこか外で食べる気も起きず(一人だし)、市場やスーパーで食材を買っては、ずっと自炊していた。おかげでかなり安上がりだったが、またしても正統なドイツ料理(?)を食べ損ねてしまった……

a0021929_4483099.jpg リビング側。カウチには枕と膝掛け、毛布まで置いてあった。ここでかなり長時間、だらだらとサッカー番組を見て過ごした。せっかくドイツまで来たというのに、日本人的にありえない時間の使い方をしてしまった気が。奥が寝室。ダブルベッドがひとつ。

 1泊あたり40ユーロ(B&Bとしては贅沢な方)のいわゆる家具付きアパートで、ここに10日間滞在したのだが、きわめて快適にすごすことができた。
 このB&B、恐らくかなり当たり外れがあるんだろうけど、語学力があって、宿泊費を安く上げたい方にはオススメ。語学力がなくとも気力と体力と熱意で何とかなる……かも。
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by terrarossa | 2008-10-26 04:56 | 見聞録 | Comments(2)
2008年 10月 23日
作業服上にてハエを食す
 近年、トンボを見かけることが少なくなった。
 ノシメトンボやナツアカネ、アキアカネなどの普通種ですら、なんか最近数が減ったなあと実感するくらいだから、かなりやばいんじゃないかとも思うが……
 それでも現在の活動地域では、窓を開けて会議などをしていると、オニヤンマがゆうゆうと入ってきて会議室を一周して出て行ったりするし(「やーこの暑いのに会議お疲れー」なんていうご挨拶なんかではなくて、「ここはオレのシマなんじゃ、てめーら覚えとけ」とかいって縄張りを激しく主張しているだけである)、秋も深まって気温が下がった頃に日なたに立ってると、動きの鈍くなったトンボが警戒心もなくやたらと寄ってくるようになる。もちろん、「いやーどうもどうも、今日は小春日和で」などといってお近づきになりたいからそうしてるのではなく、「おおお、止まれる場所が!助かったわいゲホゲホ」くらいの切実さがあるからで、気温の低下と老化によって長いこと飛べなくなってしまっただけなのだが。

 ここんところ朝晩急に冷えるようになり、体温低下と共に急にフレンドリーにふるまってくれるようになった老化トンボだが、それでも生きているわけだから、何か食べる必要があるのはもちろんわかっている。わかっているが、こんなところで優雅にお食事されてもなあ。a0021929_0152470.jpg
 でかいイエバエをくわえた状態で着地。そのまま作業服の上でばりぼり食べ始め、食べ散らかした脚の一部を放置したまま離陸。

 長生きしろよー。
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by terrarossa | 2008-10-23 00:27 | いきもの | Comments(0)
2008年 10月 16日
ドイツのサッカーを見に行く その七:ドイツ鉄道三昧(結果的に)
 前記事で長々と紹介したように、いかにも完璧をきわめていそうなドイツ鉄道のシステムだが、実は決定的な落とし穴がある。思い出したように突然起こる、列車の運休・遅れだ。常に信用ならない状態なら、どうせこんなもんよ、という気になるが、普段はけっこう時刻表通りに発着してるくせに、なんの前触れもなく、いきなりこういう事態が発生するから余計始末が悪い。こんなところで、どんだけすごいんだ日本の鉄道!と深く深ーく実感することになろうとは。
 
 今回は旅行最終日の前日、よりにもよってレバークーゼンからミュンヘンという最も長い距離を移動する時に「突然の運休」という事態が発生してしまった。前日の試合の興奮も冷めやらず、朝も暗い内から早起きしてレバークーゼンからミュンヘンを目指したというのに。ケルンメッセ駅で乗る予定だったICE、最初は「15分遅れ」などという表示が出ていたのでまあ仕方ないかなと思って待っていたのに、さんざん待たせた挙げ句にいきなり「やっぱ今日は運休しまーす」ってなんなんだよゴルァ。あんまりな仕打ちじゃないっすかあドイツ鉄道さん。それまで各路線をがんがん乗り倒してきたにもかかわらず、ほぼ時刻表通りだったのでさすがだなと思っていただけに、腹立たしさ倍増。折悪しくその日は土曜日で、大幅に遅れてやっとこさミュンヘンに着いてみれば、行くつもりだった店はすべて営業時間が終了しており、かなり壮大なスケールの無駄足を踏んでしまったのだった。
 や、そもそもレバークーゼン→ミュンヘン→ヴィースバーデン、というルートを日帰りで行こうなどと画策したこと自体が無謀だったわけだが。

a0021929_2344389.jpgドタキャンをくらい、「とにかくケルン中央駅へ行け」と言われて向かったホーム。ケルンメッセ駅で早くも日の出かよー。あーあ。

 すっかり意気消沈でミュンヘンから乗車したICEは、どこから来たのかどこへ行くのか(自分もそのうちのひとりだ)、大荷物を持った人たちでぎっちぎちに混んでおり、くつろぐ余裕まったくなし。
 その車中で、夕方六時すぎに車掌のアナウンスがあった。日本でもおなじみのダミ声系生音声で、録音アナウンスの補足(乗換駅とか、時刻とか)をするのかと思っていたら、なんと「本日のブンデスリーガ試合結果速報」の実況。土曜日の試合は15:30キックオフだから、ちょうど各会場での試合がすっかり終わった時刻である。対戦カードと結果が伝えられるごとに小さなざわめきが起きる。粋な計らいである。この時刻の実況が毎度のお約束なのか、それともたまたまサッカー好きの車掌さんだったからかどうかはわからないが、やはりドイツはサッカーの国なのだとしみじみ思う。

 さて、この日のビッグマッチはアリアンツ・アレナでのバイエルン対ブレーメンだったが、この試合の結果が読み上げられると、車内中から非常に大きなどよめきが起こった。これは何かあったにちがいないと思ったが、なにぶんダミ声ドイツ語だったので数字までは聞き取れず。で、滞在先に戻ってびっくり。バイエルン・ミュンヘンの歴史的敗退事件が起きていたのだ。2-5って……なにこれ、野球の試合ですか。
 その夜のスポーツニュースやスポーツショーは言わずもがな、翌日午前中のサッカー関連の公開討論番組(こんな生番組があるんだドイツ……)では、話題がすべてこの「歴史的敗退」についてで、夕刻になっても失点シーンの数々が繰り返し繰り返しスロー再生される始末。バイエルンの得点場面はたいへんおざなりな扱いで、古巣から2得点も上げたボロウスキ選手については、タイミングが悪すぎたよね、となぐさめの言葉をかけてあげたくなった。とにかく、ファンにしてみれば「もういいから、わかったから」と、うんざりするようなマスコミの騒ぎっぷりであった。クリンスマン体制に一新してからこれまでいまひとつだったのは事実だけど、たしか彼がドイツ代表を率いていたときも、結果が出せたのは最後の最後で、ずっと批判され続けていたんじゃなかったか。いまは我慢の時だと見守るしかない。でも、気長に待ってられないのが現代プロフットボール業界なんだよなあ。こういうとき、ビッグクラブは辛いのである。

 ところで鉄道の話に戻るが、これだけ大規模な鉄道網の敷かれているドイツだから、「あの人たち」がいない訳はない。らしき人々を実際に目撃することはなかったが、サッカー雑誌を買うために、各地各駅の雑誌スタンドをくまなく回っているうちに気付く。さほど大きくない規模の店であっても、鉄道関連の雑誌コーナーが膨大なスペースをとっていることに。旅客車系、貨物系、模型系……各ジャンルが網羅され、一体何誌あるのだろうかという充実ぶり。
 ドイツ鉄ヲタ、すげーいるんだ……やっぱり。

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ヴィースバーデン中央駅。ドイツが誇る高速鉄道、ICE(右)と近郊電車のSバーン(左)。高速化するほど形状が虫っぽくなるのは日本と同じか。
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by terrarossa | 2008-10-16 02:40 | サッカー | Comments(0)
2008年 10月 16日
ドイツのサッカーを見に行く その七の前置き:ドイツ鉄道について
 今回の旅行は、フランクフルト近郊を拠点にあっちこっち動くことにしたので、ジャーマンレイルパスを利用した。おかげで高速鉄道(ICやICE)も乗り放題で、日帰りでもかなりの長距離移動ができた。
 ドイツの長距離鉄道は経由する路線が列車ごとに異なっており、「東海道新幹線」とか「山陽新幹線」といった路線名ではなく、乗車駅がどこで降車駅はどこか、というピンポイントの組み合わせで運行状況を調べる必要がある。したがって、時刻表もそのような体裁になっている。
 時刻表は、主な駅ごとに行先別のものが揃っており、無料配布されている。大きな駅だと、チラシ状ではなく、まとめて冊子になっていることもある。もちろんこれも無料である。なお、駅に掲示されている時刻表は、その駅に発着する列車が時系列に記載されているので、そこから目的の列車のホーム、停車駅などを知ることができる。

a0021929_295435.jpgヴィースバーデン中央駅発着の時刻表。わら半紙のような紙質で、手帳に入る大きさ。ケルン、フランクフルト、ミュンヘンなど、主要駅(目的地)別になっている。往復どちらの時刻も掲載されている。
a0021929_2111130.jpgマインツ中央駅の時刻表。一冊にまとめられたスタイルのもの。

 なお、IC、ICE等の長距離列車には、車内に運行計画表が置いてあり、停車駅、停車時刻、各駅ごとの乗り継ぎ時刻などが記載されている。時刻表通りの運行であれば、これは大変便利。そう、時刻表どおりならね……(遠い目)

a0021929_2233192.jpga0021929_212156.jpgICE629(列車番号)の運行計画表とその内容。わかりやすい。

 スタイルが日本の時刻表とは全く異なるので、慣れるまで少し時間がかかったが、目的地がはっきりしていれば、こっちのほうが断然調べやすい。ちなみに、決まった路線内を往復するRB、RE、Sバーン(近郊電車)やUバーン(地下鉄)の場合は、日本と同じ、停車駅の発着時刻を記載した様式の時刻表が配布されている。

a0021929_2125576.jpgケルン近郊を走るSバーンの時刻表。駅で無料配布している、手のひらサイズに折りたためるもの。

 また、工事の予定表、代替バスの時刻表なども随時発行されていて、ここらへんのきっちりかっきりシステマチックな管理はさすがドイツだと思った。
 ドイツ鉄道のホームページ(http://www.bahn.de)もたいへん充実している。出発地と目的地、日程を入力すると、乗車時刻や乗り換えなどの案内が表示されるようになっている。こういうサービスなら日本にもあるが、路線バスの到着・出発時刻までわかるようになっているのがすごい。訪問先が主要駅でない場合は、あらかじめホームページでタイムテーブルを調べておき、結果をプリントアウトしていくといいかもしれない。
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by terrarossa | 2008-10-16 02:32 | サッカー | Comments(0)
2008年 10月 14日
ドイツのサッカーを見に行く その六:ブンデスリーガ初観戦
  9月19日(金)は待ちに待った、レバークーゼン対ハノーファー96の試合日。オンラインでチケットをとったはいいが、購入時点ではまだ日程が確定していなかった。試合は金曜夜に1試合、日曜夕方に2試合、残りが土曜に割り振られるようだが、もしこの試合が日曜になったら、帰国日のため観戦できない。日曜に当たりませんようにとただただ祈るばかりで、蓋を開けてみたら金曜夜。夜の試合なので写真撮影が極めて難しいこと決定、その日に滞在先に戻れない(別に宿をとる必要がある)ことが決定と、なんだかなあという感じになってしまった。いや、日曜にならなくて良かったと、ここは喜ぶべきなのだ。ついでに、雨が降らなかったことにも感謝せねば。
 そんなわけで金曜の夜。レバークーゼンに到着後、暗闇の中、まずチケットを受け取る窓口を探す。試合前のものすごい人出にもかかわらず、あたりに照明らしきものがほとんどないので、少々不気味な雰囲気である。ようやく見つけた窓口には長い列ができていた。順番が来てパスポートを出すと、クラブの封筒に入ったチケットを渡される。窓口のお姉さんが受取リストに現在時刻を書き込み、その脇にサインするよう指示してくる。パスポートと同じく漢字で名前を書くと、しばらく不思議そうにそれを眺めていた。封を切る。おお、ホンモノだ。現物を見るまでどうしても信じられなかったので、ものすごくほっとする。
 ……などと感慨にふけりながらもたもたしているうちに、八時を過ぎていることに気付く。キックオフは八時半。さて入口はどこ、と案内図を見ると、なんと全く反対側のゲート。急いでスタジアムを半周し、息を切らしてようやく到着。本当に最前列中央付近だった。ひゃー。

a0021929_3261749.jpg座席の真ん前(手前の赤い部分)がハノーファーベンチの屋根になっていた。目の前にはテレビカメラ。かぶりつきとはこういう状態を言うのか。
 ただ、スタジアムの配置はちょっと変則的になっていて、選手の入退場はコーナー付近だし、試合終了後も選手達はメインスタンドの方へ来ることはなく、バックスタンドとゴール裏で挨拶をして、そのままコーナーから出て行ってしまった。だからこの席は空いていたのかもしれない、と後になって思う。

 予定どおり八時半キックオフ。出入りも不自由な狭い座席にぎっちぎちになった状態で応援開始。隣は小学生くらいの男の子とお父さん。この父ちゃんがやたら熱く、拳を握りしめて叫ぶわ、ちょっとへぼいプレーなどしようものならシャイセ連発(教育上よろしくないと思うんだが)。閉口したのが反対側の隣にいたお姉さん。最初から最後までタバコを吸いっぱなしで、ドイツに分煙とか禁煙とかいう概念はないのか!と、うんざり。げっほげっほ。その上気温は氷点下近くまで低下していき、やがて上着一枚では耐えられない寒さになってくる。後半30分を過ぎると、あまりの寒さに集中がとぎれがちになる。
 前週、2部リーグの試合を見ていたのでなんとなくイメージはできていたが、1部はもっとすごかった。やっぱりこの目で見なくちゃわからない。スピードが桁違いだし、その状態で45分走りっぱなしというのがすごい。このスピードとフィジカルでぶつかりあったらさぞかし痛いことだろう。
 なにぶんプレー経験のない素人なので専門的なことは全くわからないが、こんだけ速くてなぜこんなに正確にパスを出せるのか、とか、いて欲しいところにちゃんと選手がいる!などということにいちいち驚いてしまった。イングランド・プレミアリーグなんかはもっとすごいというらしいが、これよりすごいって、一体どんなだろう。
 素人目にも特にうまいなあと感じたのはロルフェス選手。なんというか、難しい局面であっても、いとも簡単なことのように、実にさり気なく爽やかにボールを奪っていくのだ。中央でゲームを仕切っているのがよくわかる。

 見てる方としては様々な悪条件が重なってしまったが、試合の方は、レバークーゼンのファンにとってはもう痛快爽快のウハウハな展開。「メンバーの若さ」の良い部分が存分に発揮された、というような試合だった。始まってすぐにロルフェス選手がきっちり得点すると、後は新加入のヘルメス選手の独壇場。勢いよくハットトリックを決め、リーガ得点王争いのトップに躍り出る大活躍となった。それにしてもハノーファーは良くなかった。なにもかもかみ合わない感じ、とはこのことを言うんだろうか。
 イケイケドンドンの展開に観客は大興奮。最初っから総立ちだったが、その上次々とウェーブがやって来る。小さいスタジアムなのですぐに次の回が来て、二周しても終わらない。これを気にしている内にうっかり4点目を見逃してしまった!こんなお祭りみたいな楽しい試合に、フリードリッヒ選手が出られなかったことを、ここでちょっと残念に思うのだった。

 4-0と、レバークーゼンが圧倒的な勝利をおさめて試合終了のホイッスル。試合が終わると同時に観客がどんどん捌けていく。余韻にひたることもなくあっさり帰ってしまうのは、時間が遅いということに加えて、寒さのせいもあったに違いない。
 いかん、これ以上ここにいたら確実に風邪をひく。しかもこの寒さの中、宿まで二十分以上歩かねばならない……スタジアムを出てすぐに目に入ったのは売店。あまりの寒さに、全く買う予定のなかったマフラーを購入してしまった。応援時に掲げる、あの派手なやつである。とにもかくにも、16ユーロの暖かさが身に染みる。通勤時にはちょっと使えないけれど、結果的に風邪を引かなかったので良しとするか……a0021929_3301413.jpg
試合終了後のスタジアム。あっという間に人がいなくなってしまった。
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by terrarossa | 2008-10-14 03:40 | サッカー | Comments(0)
2008年 10月 11日
ドイツのサッカーを見に行く その五:選手と会う
 練習を終えた選手たちがグラウンドを出て行く。いずれもウェブ上の写真などで見知った顔だ。出入口にはセキュリティのおじさんが一人立っているだけ。その傍らで、怪我も癒え、いよいよ次の試合から復帰するらしいゴールキーパーのアドラー選手が、常連とおぼしきじいさんと何やら話をしている。
 あまりにも人が少ないと、かえって写真を撮りにくい。それでなくてもこの状況で、アジア人は目立つ。浮きまくっている。わりと長い時間見学していたのに、結局ほとんど練習中の写真は撮っていない。

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唯一撮影した集団のショット。練習がひととおり終わって遊んでいるらしきところ。手前ではコーチ陣が首脳会談。

 言葉もわからないので、声をかけたりサインをお願いしたりすることもできず、目の前を通り過ぎていく選手たちをただぼんやり見送るだけ。というか、そもそも今まで、プロのスポーツ選手に声をかけたりサインをもらったりしたことはなかったし、そういうものが欲しいと思ったこともなかったのだ。
 しかし、ちょっと気になっていた選手が観戦予定の試合に出られなくなったと知って、黙ってはいられなくなってしまった。三日前の試合で、イエローカードを2枚もらって退場になり、次節出場停止になってしまったマヌエル・フリードリッヒ選手のことである。わざわざドイツくんだりまで試合を見に来たこちらとしても涙目な状況だが、退場になったその日は、なんと彼の誕生日。向こうだって踏んだり蹴ったりの、まさにアンハッピーバースデーだったのだ。
 ところで彼は、今この現在も、自分にとっては謎の人だ。ドイツ代表に選ばれるレベルの実力派センターバックだが、プライベートが取りざたされるようなスター選手ではないので、プレーヤーとしてのデータ以外の情報を得ることがなかなかできない。そういう限られた状況で、「勝利の後、ゴール裏に向かって全力ダッシュ&ヘッドスライディングを先導、実行」とか「お立ち台で拡声器片手にシュプレヒコール」とか「どう見ても偶然としか思えないロングクロス崩れのスーパーゴールを決めて、ハイテンションで喋りまくるインタビュー映像」などといった動画がネット上に残されている。てか、前に紹介したサインカードのガテン系コスプレで、芸術のために(←嘘)潔く脱いじゃってるのが彼その人である……という風に極めて断片的な情報を並べてしまうと、まるでネタ提供キャラのようである。いや、そんなはずは(確証がもてないあたりが弱いところだ)。写真を見てる限りでは、陽気ではっちゃけた人と言うよりは、むしろそれとは真逆の、静かで落ち着いた佇まいを感じるのになあ。謎は深まるばかりである。

 さて、この極めてギャラリーが少ないゆるゆるな状況の中、件のフリードリッヒ選手が出口に向かって歩いてくる。残っている選手はもうほとんどいない。いやがおうにも緊張感が高まる。が、そのまま出てくるかと思ったら、ピッチ上に散乱しているペットボトルを丁寧に拾い集め、いきなり片づけ作業を始めるではないか。チームでは年長の部類に入る彼がなぜ?と少々疑問に思う。出場停止のペナルティなのか、それとも、こういうことをさらりとやってしまう素敵な人なのか。後者であってほしいんだが。
そして「お片づけ」も済み、いよいよ彼がグラウンドを後にする。目の前を通り過ぎてゆく。前述したとおり、こういう試みは全く初めてである。言葉もわからない。どうしようどうしよう。
 「え、えくすきゅーず・みー」
 出てきた言葉はトホホなうっすら英語、それだけだった。だが彼は振り向き、「何か?」という感じでにこりとほほえんだ。うわ、ほ、ホンモノだー!(何を今さら)
 「はじめまして、わたしは、にほんからきました。わたしは、こんしゅうまつのしあいをみにいきます。しかし、あなたは」
もうやぶれかぶれのジャパニーズ・イングリッシュ(まずい教科書朗読調)である。それがどうやら奇跡的に通じたらしい。なぜなら彼は「ばっと・ゆー・きゃんと……」とこちらが言い終わらないうちにちょっと顔をしかめて「あー、やっちゃったんだよねえ」と肩をすくめてみせたのだ。
 サインをお願いすると、彼は両手にぶら下げていたプロテクターやら目印用のコーンをそのまま地面にぼとぼと落とし(置いて、ではなく)、その場で快く応じてくれた。急ごしらえのバースデーカードを渡し、最後に写真撮影をお願いする。じゃ、そこで……と言い、離れてカメラを構えると、彼は「えっ?」という感じの、ものすごく意外そうな顔をした。一緒に撮るんじゃないの?と腕をこちらに伸ばしかけてくれていたのだ。だがここで、あろうことか、緊張のあまり一言、「No」と断ってしまった!なんてこった。ほんの一瞬だが、肩すかしを食らってがっかりしたような彼の表情を今も覚えている。いやほんとに申し訳ないことをした。ごめんなさいというほかない。
 身長差があり過ぎて、仰け反りながら撮影したら、なんだかおっかない下からのアオリ構図になったため、すんませんちょっとしゃがんで……と身振り手振りでお願いしたら、あーごめんよ、と笑って中腰になってくれたときのショットがこれ。

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レバークーゼンのディフェンダー、マヌエル・フリードリッヒ選手。

 誕生日に退場くらってへこんでないはずはないというのに、突然やってきたいちファンに対して、律儀にもフルコースのファンサービスをしてくれたのだ。たまたま他に人がいなかったとはいえ、ペットボトルをひとつひとつ拾い集めて片づけていたさきほどの行動同様、非常に丁寧で心のこもった対応だった。プロフェッショナルかくあるべし。やーもー、やっぱりすげーかっこえかった。ツーショット断ってごめんなさいだけど。実際会ったら、謎が解けるどころか、どんな人なんだかますますわかんなくなっちゃったけど。

素敵な笑顔をありがとう。今後なおいっそうご活躍されることをお祈りしています。
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by terrarossa | 2008-10-11 15:55 | サッカー | Comments(0)
2008年 10月 11日
ドイツのサッカーを見に行く その四:練習見学をする
 選手の皆さんを間近で見たければ、練習見学をするのが一番。試合映像どころか、雑誌等の紙媒体ですらお目にかかる機会が滅多にない日本在住のフスバルファンがここまで来たら、練習見学はどうしても外せない必須事項である。昨年ミュンヘンへ行った際は、バイエルン・ミュンヘンの練習場へ行き、画像でしか見たことのない選手や監督を目撃することができた。その時は、クローゼやポドルスキー、シュバインシュタイガーなどの選手が代表に招集されて不在だったにもかかわらず、大勢のファンが詰めかけており、ドイツでのサッカー人気はすごいなあと実感したのだった。今回試合観戦予定のレバークーゼンは、若手有望選手が多数在籍している強豪チームなので、さぞにぎやかなことに違いない……だけど、遠巻きにでも練習見学できるのならばと、非常に楽しみにしていた。
 ということで、滞在先ヴィースバーデンからレバークーゼンまで、バスと列車を乗り継いで二時間以上かけて行ってみた。ところが、スタジアム付近は、工事用車両がせわしく出入りしているだけで、ファンらしき人影は全くない。いやーな予感がする。スタジアムの隣に練習場とおぼしきグラウンドがあったが、誰もいない。もしかして、練習は別なところでやっているのだろうか?

a0021929_15141517.jpgしーん。 

 オフィスが開いていたので、おぼつかない英語でたずねてみる。すると一言「今日、練習はありません」。やられた。ドイツ出発前ぎりぎりまでオフィシャルサイトのスケジュールをチェックしていたが、直近の試合前までの練習スケジュールしか載っておらず、確認できなかったのだ。またバスと列車で二時間以上かよ……どんがらどんがら響き渡るコンストラクション・サウンズ(←オサレな表現をしてみた)をバックに、いや、これで諦めてなるものかと決意を新たにし、その日は土埃でけむる砂利道を後にしたのだった。

a0021929_1518387.jpg 只今絶賛工事中。

 翌日、再びレバークーゼンへ。この日は10時からスタジアム隣のグラウンドで練習があることを確認している。練習場を覆う高い塀の向こう側からは、ボールを蹴る音や、かけ声が聞こえてくる。だが、昨日同様、周辺に人の気配はない。またしてもいやーな予感がしたのだが、ピッチが見える側まで歩いていくと、トレーニングしていたのはまごうかたなきレバークーゼンの選手たち。きら星のごとく活躍する、または活躍が期待されている面々である。写真や動画でしか見たことのない彼らが今、目の前で生きて動いている。とうとうここまで来たのだと、しばし感慨にふける。が、我に返って周囲を見ると、年配の男性方が数人、練習風景を眺めているだけ。それも明らかに、犬散歩中とか自転車にまたがってお出かけのついでに、といった感じである。平日の午前中だからコドモは学校だし大人は仕事だし、こんなもんなのかとも思ったが、このやたら渋い客層がデフォルトなんだろうか。バリバリの若手がいるチームなので、若い女性とか、コアなサッカーおたくとか、熱心なおばちゃんとか、こう、もっと、ちょっと近寄りがたいような華やかな感じを想定していたんだけど……もしかしたら、たまたまこういう状況だったのかもしれないが、昨年訪問したバイエルン・ミュンヘンでのギャルギャルしい華やぎ(代表選手がいなかったので、それでもかなり長閑だったらしい)とはまったくかけ離れたゆるさに、少々拍子抜けしたのだった。
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by terrarossa | 2008-10-11 15:27 | サッカー | Comments(2)
2008年 10月 09日
ドイツのサッカーを見に行く その三:いかした広報活動
 Bayer04 Leverkusenのホームスタジアム、Bay Arenaは強豪チームのスタジアムにしては小さく(22,500人収容)、現在建替え工事が行われている。クレーンが何基も入り、高い足場が組まれたスタジアムには工事用車両がガンガン出入りし、とてもじゃないがゆっくり散策していられるような環境ではない。が、このたいへん落ち着かないクラブ事情をうまく利用していたのが、選手・コーチ陣のサインカードであった。全員載せたかったところだが、さすがにそれはムリなので、ほんの一部をこそっとアップ。
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 片面は普通にユニホーム姿なのだが、裏返してみれば……
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 直球ど真ん中のガテン系コスプレである。ここまでやっちゃうんだなドイツ。それとも、こんな楽しいことをしてるのはレバークーゼンだけなのか?いくらスタジアム工事中とはいえ、誰が思いついたんだか、これをほんとに実行するあたりがひと味もふた味も違う。そんでもって、選手の皆さんもノリノリでやってるところがまたすごい。カッコイイっす。「本気」と書いて「マジ」と読む。Jリーグのクラブでも、ぜひこのくらいはやってほしいものである。
 画像1・2枚目とも、左から、バルネッタ・ゲカス・フリードリッヒ・アドラー選手。いずれも各国代表クラスの方々なのだが。

a0021929_133174.jpg ロルフェス選手。上画像の、やや気合が入りすぎた面々と比べたら、いくぶん洗練されているような……
レバークーゼンの現キャプテンであり、ドイツ代表選手でもある彼のコスプレ大看板は、工事現場周辺のほか、町の至る所で見かけた。でも、全く知らない人が見たら、サッカー関係の広告とは思わないだろうなあ。

 ところで看板といえば、レバークーゼンの街なかで、こんなものを発見。a0021929_142188.jpga0021929_143965.jpg
 ドイツの銀行、citibank店舗前にどーんと置かれた立看板に登場しているのは、ヴェルダー・ブレーメンのフリンクス、フリッツ両選手。citibankはブレーメンの胸スポンサーなので、広告に選手が起用されるのは当然と言えば当然なのだが、つまり、全国のアウェーでこのような挑発行為(?)が行われてるってことかい。やるじゃん。
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by terrarossa | 2008-10-09 01:15 | サッカー | Comments(0)
2008年 10月 09日
ドイツのサッカーを見に行く その二:あらかじめチケットを購入してみる
 ブンデスリーガ1部リーグの試合ともなると、やはり事前にチケットを購入したい。でも、チケット代行業者を通じて買うと、かなり高額の手数料がかかってしまう……ということで、自力確保したのが、レバークーゼン対ハノーファーの試合チケットだった。
 たいへんありがたいことに、ドイツには公式サイトでホームのチケットをオンライン販売しているクラブがたくさんある。だが、今回の旅行中に行われる予定の試合は、ドルトムント対シャルケのルールダービー、バイエルン対ブレーメンの強豪ガチンコ試合、比較的近いケルンのホーム対戦相手はバイエルン、そして滞在先ヴィースバーデンに一番近いフランクフルトの試合は金曜夜(滞在先に戻れない……)。やられた。超人気カードであることを承知で、一応チケット発売日にアクセスしてみるも、つながらなかったり、そもそもオンラインでの販売がなかったりで、これら試合の自力チケット確保はならず。がっかり。
 いや、まだレバークーゼンがあった。BayArenaは小さなスタジアムなので、チケット確保は難しいかもしれないが、とにかく公式サイトへ行ってみることにする。そこはドイツ語オンリーの世界。意味を調べている内にタイムアウト、ということが何度もあった。が、ついにたどり着いた席図を見ると、最前列の中央付近に一つだけ空席があるではないか。半信半疑で受付をすませると、間もなくドイツ語のメールが。たいへん長い時間を費やして訳してみる。「チケットはあなたの住所に郵送されます」ということらしいが……本当なのか?
 案の定、待てど暮らせど何の便りもない。そうこうする内に、いよいよ渡航日が迫ってきた。いかん。問い合わせてみなければ。
「ちけっとがまだとどきません。ほんとうににほんへおくってくれるのですか」
というような意味の稚拙な英文を、莫大な時間をかけて作成し、送信。速攻返事がくる。どうやら意味は通じたらしい。今度は英語のメールだった。「あなたのチケットは日本へは送りません。試合当日に18か19番のカウンターでパスポートを提示して受け取って下さい」だと?こんな重要なことを、問い合わせなきゃ教えてくれないってのもどうなんだ、と大いに不安になる。そもそもあんないい席が本当にとれているのか、どうしても完全には信用できず、試合当日、窓口でホンモノを受け取ったときは、うれしさより先に「嘘だろー」と思ったくらいだった。

a0021929_0343450.jpg立派なホルダーにおさめられていた試合のチケット。入場の際に、ホログラムの部分をちょっとちぎられた。BayArenaは2009年のリニューアルを予定しており、現在建替え工事中。現在のスタジアムで観戦できるのは、多分これが最初で最後。

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by terrarossa | 2008-10-09 00:40 | サッカー | Comments(0)