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2007年 03月 07日
異国の街で本屋のハシゴ
更新をさぼっていたら、もう3月になってしまった……

 海外へ行ったら必ず立ち寄りたいところは、市場(マーケット)と書店だ。たった数日の滞在では、ほんのさわりしか知ることができないけれど、市場で生活を、書店で文化を、少しだけかいま見ることができるような気がするからだ。
 台湾・韓国の都市部には大型書店が何軒もあり、本の種類も内容も非常に充実している。中国も同様で、膨大な本と売り場スペースをもつ書店は、大勢の人でごった返している。おそらく新刊書やベストセラー本だと思うが、同じ本が数十冊単位でアーチ状、らせん状などのアーティスティックな積み方をされていたのが中国。本が本ではなく、オブジェのパーツと化していた。人口が多いから、そのくらいの冊数はすぐさばけるということなんだろうか?
 一般書については、台湾、韓国、中国とも、いわゆるソフトカバーが中心で、ハードカーバーの書籍はほとんどない。ハードカバーの書籍が多い日本のほうが、世界的にはめずらしいのかもしれない。
 紙や印刷の質は、台湾・韓国は良く、中国はそれよりも数段落ちる、といったところだろうか。中国にも、おっ、いい紙で写真もきれいだ!という本もなくはないが、ちょっと開いたら「メリッ」といきそうなお粗末製本仕上げだったりすることも多々あり、なかなか油断ならない。
 ベトナムのハノイ、ホーチミンには、それなりの書店があった。ただし、品揃えはかなり貧弱。種類が少ないのか、同じ本を何冊も置いているし、わら半紙と大差ない紙質の本が多くを占める。印刷の質も良くない。
 欧米圏に関しては、文字だけの内容であれば、紙質にはこだわらない考え方のようだ。小説などは、ペーパーバックが大半だ。
 ロシアの商店は入口が小さく、外から見て内部がわかりにくい構造になっているので、本屋を探すのは至難の業。書籍は、やはりペーパーバック中心だが、鮮明な写真や図版が必要と思われる専門書まで、粗悪な印刷・わら半紙な紙質の本が多かった。
 ブルガリアは、そもそも本屋の数が少ないのか、町中歩き回ってやっと小さな書店に行き当たったというあんばい。紙や印刷の質はロシア同様で上等とは言えず、英語圏の書籍が混在していたりして、自国の本の種類は少ない。
 本の種類や質・量を充実させるには、生活以外の部分に金をかける精神的・経済的余裕がないとなかなか難しいだろう。書店の軒数、出版物の内容、体裁は、その国の豊かさや文化の成熟度合いと非常に密接な関係があるように思える。
 
 本の内容から、その国で何を重要視しているのかが、おぼろげながら見えてくる。職業柄、農業関係の本を中心に書店ウォッチングをしているところだが、国や地域によってジャンルに偏りがあり、それだけで、どこに気合いが入っているかが端的にわかってくる。
 ベトナムは野菜や果物よりも、鶏、豚、牛、水禽類と畜産関係の本が充実。ただし、文字と白黒図版のものが大半で、カラー写真等を使っている本は極めて少ない。
 ダーチャ(別荘)で菜園を持つ人が多いロシアは、家庭菜園本がメイン。寒冷地のため、栽培できる作物が限られているせいか、品目別の専門書はほとんど見当たらない。
 台湾は専門書が充実しており、特に果物・野菜の本が多い。一年中温暖な気象条件で、栽培可能な作物が多いことも関係しているのだろう。本の質も良く、カラー写真をふんだんに使ったきれいな本がたくさん出ている。
 中国では、近頃「環境」への関心が高まっている(または、高めてほしい)ようで、農業に関しても、農薬を減らしたり、有機質肥料を使ったりする技術書の出版が流行りのようだ。

 これらの国々のほとんどでは、書籍と雑誌はきっちり区別されている。台湾と韓国は雑誌を扱っている書店もあるが、その他の国では、書店に行っても雑誌は置いていないことが多い。日本の書店が、必ず雑誌を扱っているのとは対照的だ。雑誌は、駅の売店、街のキヨスク、あるいはコンビニで、たいていは新聞と一緒に売られている。

a0021929_23543455.jpg新聞・雑誌専門のスタンド(露店)。ブルガリアの首都、ソフィアでは、書店の少なさとは逆に、このような店が町中いたるところに点在。

a0021929_2355727.jpgロシア・ウラジオストク。雑誌専門キヨスク外観。雑誌がガラス窓の内側に貼り付けられている。ロシアではおなじみの「客が商品を手に取れない」スタイル。


 雑誌の紙質や印刷は、書籍の紙がわら半紙な国でも、かなり相当良い、というところが面白い。雑誌はコンスタントに売れるので、それだけ金をかけてもペイできるってことか。

a0021929_2355367.jpga0021929_23555213.jpgベトナムのブライダル雑誌。書籍のお粗末さとは対照的に、日本の女性誌を彷彿とさせる、ゴージャスかつ重量感溢れる体裁。これで殴られたらおおごとである。印刷の質もまあまあ。

a0021929_23562115.jpga0021929_23563312.jpgレフスキ・ソフィア(ブルガリアのプロサッカーチーム)の広報誌。紙はまずまず、写真もきれい。

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by terrarossa | 2007-03-07 00:15 | 見聞録