カテゴリ:アスパラガスをめぐる旅( 5 )
2009年 12月 24日
アスパラガスをめぐる旅・ドイツ北部編
 ドイツでアスパラガスと言えば、ホワイトアスパラガスのこと。
 そして、ドイツ人にとって、アスパラガスは特別な野菜だ(たぶん)。歴史と文化とアスパラガス。春の訪れは、アスパラガスと共にやってくる。春の終わりも、アスパラガスの収穫終了と共に終わる。なので、アスパラガス専門の料理本多数あり、アスパラガス専用の調理器具あり、そして国内には、複数の「アスパラガス博物館」が存在する。

 2年前に、ドイツ南部、シュローベンハウゼンのアスパラガス博物館を訪れたのに続き、今回は北部、ニーンブルクのアスパラガス博物館を訪問した。
 ドイツ3回目にして、目的が完全にサッカー観戦メインとなってしまったものの、9月もオープンしているというニーンブルクのアスパラガス博物館はぜひ行かねばと、北部方面へ日帰り遠征敢行。早朝、滞在先であるケルンを出発し、昼前にニーンブルクに到着した。

 ニーンブルク(Nienburg)は、ハノーファーとブレーメンの間に位置する小さな町。遠くから観光客が訪れるほど有名なスポットはないのだが、歴史的な建物、古い町並み、そして、点在する小さな美術館や博物館と見どころは多い。ちなみにこの町は、フライブルクで長年監督を務め、現在は浦和レッズの監督であるフォルカー・フィンケ氏の故郷とのことである。

a0021929_563968.jpg かやぶき屋根の農家……実はこれがアスパラガス博物館。開館しているとはいえ、アスパラガス的には完全オフシーズン。ということで、来館者は誰もおらず、入口は閉鎖。鍵を開けてもらい、明かりをつけてもらって入館。貸し切り状態で心ゆくまで見学したのだった。

a0021929_572374.jpg 展示内容についてはドイツ語オンリー、英語表記無しだったので、絵と写真と現物で推測(とほほ)。

a0021929_574136.jpg 昔はこのように収穫していたのだよという展示。シュローベンハウゼンの博物館でも同じようなのがあったな……
馬を使ってうね立てし、こてで表面を平らにする。地中のアスパラガスが伸長することによって地表面に入るひびで位置を確認して収穫する。

a0021929_581220.jpg これはもしやミス・アスパラガスコンテストか。きれいどころが。


 二階フロアは、アスパラガスのために作られた食器類の展示。これもシュローベンハウゼンの博物館と同様。

a0021929_583463.jpga0021929_585028.jpg

 ゆであげたアスパラガスを乗せる専用の皿。陶製から銀製品まで凝ったデザインのものがこれでもかというくらい沢山展示されていた。水っぽくならないよう、水が下にたまるような構造になっているものが多い。

a0021929_591681.jpg アスパラガスの形をしたアスパラ用カトラリー。これでアスパラをはさんで皿に取るのだな。

a0021929_594761.jpg 入口のところに置かれていた鉢植え。もうシーズン終盤だけどな。頑張るんだアスパラ……


 町の中心部にある広場には、アスパラガスの選別作業をしている人の像があるということで行ってみたら……

a0021929_5111337.jpg 移動式のメリーゴーランドに囲まれちゃって、ものすごく気の毒な状態になっていた。
 この日の夜からお祭りなんだとか。

 そういえば、入館料をとられなかったな……

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by terrarossa | 2009-12-24 05:30 | アスパラガスをめぐる旅
2009年 02月 09日
アスパラガスをめぐる旅・台湾編
 頸椎症治療のため通院は続けているものの、症状は一進一退。PCを操作するとてきめんに症状が悪化するので、仕事以外でのPC使用は引き続き自粛していくしかない。手首に力が入らず、鍋やフライパンが持ちあげられなくなったのには困った。右手の筋力はこうやってどんどん衰えていっちゃうんだろうか?

 昨年暮れに久しぶりに台湾へ行ってきた。頸椎症で手はしびれているんだがキャンセルするのがもったいないと強行。旅行中、PCを使う機会がなかったせいか症状は安定していて、割と快適に過ごすことができた。

 台湾では青果物としてのアスパラガスはほとんど出回っていない。にもかかわらず、「アスパラガスジュース」なる清涼飲料水が存在する。
 で、4泊5日の日程のほとんどを朝から晩までへとへとになるまで歩き回り、その過程で目にしたコンビニやスーパー、駅の売店などに片っ端から立ち寄ってみた。その結果、アスパラガスジュースは、飲料を販売する店舗ではほぼ100%扱っていた。台湾で生産していないものを原材料に使ってまでわざわざ製造販売しているということは、それだけ需要があるってことなんだろう。
 
 台湾で確認した数種類のアスパラガスジュースは、果汁20%または10%。味にアスパラガスをうかがわせる気配は微塵もなく、化粧水のごとき人工的な香りに満ちあふれた、ひたすら甘ったるいだけの飲物であった。もっとも、パッケージを見る限り、健康への効能が大々的にうたわれているあたりからして、アスパラガスジュースは味が売りの飲料ではないようだ。清涼飲料水向きではないアスパラガスの独特な風味をカモフラージュするために、果汁含量を少なくして糖分たっぷり香料ぷんぷんにした結果がこれだってか。かえって健康に悪いような感じがするんだが気のせいだろうか。個人的感想としては、飲めないほどマズイという訳ではないが、積極的に飲みたいという意欲をかき立てるような味ではなかった。
 とにかく、今回の調査(?)で、この飲料が台湾の人々に広く愛飲されているらしいことはわかった。でもなんでこれが……

a0021929_239863.jpg 購入して持ち帰ったアスパラジュース各種。ということで、帰りの荷物は死ぬほど重かった(毎度毎度これだよ)。味はどれも化粧水に砂糖を混ぜたような感じ。果汁10%(紙パックのもの)の方が幾分飲みやすかったような……

a0021929_2394386.jpg 500mlパック入り(この製品は要冷蔵)。こんな感じで、どの店にも並んでいた。

a0021929_240989.jpg台北駅の売店で、ペットボトルのお茶類とともに堂々のエントリー(ペットボトルのお茶は大変種類が多かった。そして、特にウーロン茶の類はどれも美味しかった)。

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by terrarossa | 2009-02-09 02:43 | アスパラガスをめぐる旅
2007年 12月 22日
アスパラガスをめぐる旅・番外編
市場で撮った写真の中から、アスパラガス以外のものをちょっとだけご紹介。

a0021929_22322841.jpgアーティーチョークの山。こんだけでかくても、食べられる部分はごくわずか。調製がめんどうで、おそろしく歩留まりが悪いにもかかわらず、ヨーロッパの人たちはこの野菜が大好きだ。

a0021929_22325946.jpg細心の注意を払って商品を並べる店のコワモテおにいさん。と、芸術作品のように陳列された各種野菜。当然、客が商品に触れることは禁止(!)。

a0021929_22334256.jpgとんがりキャベツ。丸いのよりも見かけることが多かった。

a0021929_2234965.jpgホースラディッシュ(西洋わさび)。日本では、市販のローストビーフにすりおろしパックがついてくることはあるが、生はほとんど見かけない。

 どうやら魚はあまり食べられていないらしい。ミュンヘンは内陸だし。広大な市場の中で魚屋は数軒もなかった。しかしここですごく大胆なファストフードを発見。

a0021929_22343753.jpg店のガラスケース内に見えたのは、魚の切り身をそのままはさんだ、巨大フィッシュバーガー。

 ここで日本のアスパラガス事情を少し。
 日本でも以前は、缶詰でおなじみのホワイトアスパラガスを栽培していたのだが、昭和50年代以降はグリーンアスパラガスの生産が主流となっている。全体の栽培の流れはグリーンもホワイトも基本的には同じだが、グリーンアスパラガスは、ホワイトアスパラガスのように、光が当たらないようにわざわざ土盛りして、地上に芽が出てくる前に土の中から掘り出して収穫する、という面倒な過程を経る必要はない。

a0021929_22351161.jpgグリーンアスパラガスの収穫風景。腰にはけっこうな負担が……

 日本において、春の露地アスパラガスは、4月中旬以降に収穫が始まり、6月下旬には収穫を打ち切る。ただし最近、本州の産地では、5月下旬、いったん収穫を中断し、肥料をやって茎を立てて繁らせ、株養成に必要な茎の本数を確保したら、それ以降発生したアスパラガスを秋まで収穫する、という栽培方法が増えている。そんな訳で、夏にも国産のアスパラガスが出回るようになった。夏のアスパラガスは何か無理してつくったんじゃないかというイメージをお持ちの方が多いようだが、決して人為的に生育環境をコントロールしている訳ではない。確かに、色は薄く、食味は春のものにくらべると劣るが、気温が高いため伸長が早く、しかも株を繁らせた日陰の状態で収穫するからなのであって、あくまでも自然に発生したものを収穫していることに変わりはないのだ。

a0021929_22353767.jpg夏も収穫を行うと、毎日畑へ行くことになるから、きちんと管理でき、とても良い状態になる。夏のアスパラ畑in Japan。

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by terrarossa | 2007-12-22 22:45 | アスパラガスをめぐる旅
2007年 12月 22日
続・アスパラガスをめぐる旅
 アスパラガス生産地と博物館をこの目で見たあとは、マーケットへGO。ミュンヘンには、市のまさに中心部に、ヴィクトアリエン・マルクト(Viktualienmarkt)という、写真集も出ているくらい有名な青空市場がある。

a0021929_318842.jpgで、その写真集。ハードカバー・フルカラー・A4変型160頁。ついでに、アスパラガス博物館で購入した、アスパラガスの本。帰国時の疲れた体にとどめを刺すような、実に重量感あふれる豪華本だったよ……

 もうここが、噂にたがわず野菜オタク垂涎の市場だったんである。結局、まる2日間にわたって心ゆくまで入り浸り、その間じゅう、興奮のあまり脳内から変な物質が出まくったらしく、気がつけば500枚を超える野菜・果物の写真を撮っていたのだった。

 9月だからドイツ産ホワイトアスパラガスは無い。
 とはいえ、さすが巨大市場。ほんの少数、輸入物が出回っていた。

a0021929_3184195.jpg左から、ペルー産グリーンとホワイト、タイ産グリーン。420gで7.9ユーロ(1300円くらい)。高い。

 ならばせめて缶詰のアスパラでも、とデパ地下やらスーパーを何軒も回ったが、缶詰のアスパラは見つからない。そう、水煮アスパラはすべてガラス瓶詰めで売られていたのだった。こういうのも環境に配慮した取り組みなんだろうな、と妙に納得。

a0021929_3191646.jpg環境に配慮した取り組みのわかりやすい事例。居並ぶ分別ゴミ箱。

(そういえば、缶ビールを見かけることはほとんどなかった。ビールも瓶ばかりで、スーパーへ行くと、お徳用6本パックなんてのがたくさんあったが、瓶の6本パックは、当然のように、とてつもなく重い。ガタイのいいドイツのみなさんにとっては、屁でもないのかしらん)。

 さて、そのアスパラの瓶詰めだが、地元ドイツ産のほか、ペルー産、中国産があった。ドイツ産は輸入瓶詰めにくらべて若干値段が高い。また、長く太いものが高級とされているようだが、細いもの、短くカットされたものが入った「お徳用」など、サイズや中身の形状についてもいろいろあったのが印象的だった。

a0021929_3194928.jpgこれが日本に持ち帰ったアスパラの水煮瓶詰め。右、ドイツ産お徳用サイズ。左、ペルーからの輸入もの。帰国時の疲れた体にむち打つような、重量感あふれるワレモノ(しかも中身に液体)だったよ……


 いや。
 市場の写真集だのアスパラ瓶詰めなんかは、実のところたいしたものではなかったということを、ここで告白せねばならない。帰国時の荷物があっさり20㎏オーバーしてしまった最大の原因は、これでも厳選したつもりのフスバル雑誌もしくはカタログやらの数々なのであった。とほほほ……

a0021929_3201141.jpg「戦利品」ラインナップ。ああジャーマンのかほり。ドイツ語がちんぷんかんぷんであるにもかかわらず、眺めているだけでこの上なくシアワセな気分に(←またなんか変な物質が脳内から出ているにちがいない)。

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by terrarossa | 2007-12-22 03:31 | アスパラガスをめぐる旅
2007年 12月 21日
アスパラガスをめぐる旅
 そもそもドイツへ行こうと思い立った理由の一つは、「ドイツのアスパラガスを見たい」と思ったから。
 ドイツで「アスパラガス」というと、一般的にはホワイトアスパラガスのことを指す(もちろん、グリーンアスパラガスもあるけれど)。
 国産のホワイトアスパラガスが出回るのは4月から6月まで。だが、ドイツへ行ったのは、アスパラガス的には完全オフシーズンの9月。できればホンモノのドイツ国産ホワイトアスパラが出回っている時に行きたかったのだが、その時期に仕事を休むことはできなかった。残念だが仕方ない。

 ドイツにおいてアスパラガスは、春の到来を告げる野菜として、特別な存在なのだという。収穫期間もきっちり決められており、6月24日の「聖ヨハネの日」以降は収穫しないことになっているそうだ。わざわざキリスト教の聖人にちなんだ日を収穫終了日に定めているあたり、アスパラガス栽培には、長年にわたる歴史的・文化的背景があることをうかがわせる。もっとも、「聖ヨハネの日」を収穫打ち切りとしたのは、栽培上、理にかなっているから、その日をうまく当てはめたのだろう。春に収穫するアスパラガスは、前年に根の部分に蓄えていた貯蔵養分を使って発生するのだが、その養分がちょうど6月中~下旬頃に切れるのだ。だから、この時点で収穫を打ち切ると同時に肥料を与え、この日以降発生した茎を伸ばして、わさわさ繁らせる。これを「株養成」と言い、アスパラガスは夏の間にせっせと光合成してエネルギー生産し、それを貯蔵養分として根に蓄えていく、という訳。近頃では、採りすぎを避け、より生産性を上げるため、6月24日以前に収穫を打ち切って株の養成に入るところも多いとのことだ。

 そんなドイツには、国内のあちこちに(ちょっと調べただけで6カ所も!)「アスパラガス博物館」なるものがあるという。ついでにいうと、「アスパラガス博物館」はドイツだけではなく、イタリアにもオランダにもあるんだそうだ。欧州の歴史と文化とアスパラガス。うーむ、やはりただの野菜ではないな。
 で、ドイツ行きにあたって、できればドイツ国内の「アスパラガス博物館」を全部訪れてみたいと思ったのだが、調べてみると、オフシーズンの9月でも開館していると確実にわかったのは、バイエルン州のシュローベンハウゼン(Schrobenhausen)にあるヨーロッパ・アスパラガス博物館(Europäisches Spargelmuseum)だけ。てか、ドイツは広いので、たとえ各地の博物館がオープンしていたとしても、一週間の日程では国内各地に散らばる博物館をハシゴするのは物理的にムリだ。ということで、旅行先はドイツ南部に決定と相成った。

 シュローベンハウゼンは、まず、ミュンヘン中央駅から電車で40分、アウグスブルグ郊外のAugsburg-Hochzoll駅まで行き、そこからインゴルシュタット行きのディーゼル列車に乗り換えて30分。ミュンヘンの北西約50㎞に位置する、城壁に囲まれた静かな町である。

 シュローベンハウゼンに到着したのは午前中。博物館の開館までだいぶ時間がある(7月~4月の開館時間は、毎週水、土、日の14:00~16:00のみ)。シュローベンハウゼンはバイエルン州屈指のアスパラガス大産地というのだから、当然畑があっちこっちにあるに違いない、と勝手に思いこみ、博物館開館を待つ間に、徒歩で畑探索を開始。
ところがアスパラ畑にはなかなか遭遇しない。
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アスパラ畑はどこだー!!


a0021929_2312999.jpg周囲1㎞四方は誰もいないんじゃないかという広大なフィールドを徘徊すること約1時間半。ついにアスパラ畑を発見。おお、ドイツのアスパラ畑だ!

 このアスパラガス、支柱無しでも倒れないよう、80センチくらいにカットしてあるし(そのままにしとくと2m以上は伸びる。ほんとは支柱を立ててできるだけ長く縦にキープしておいたほうが生産性が上がる)、9月も半ばということであちこち病気になっているし、雑草も生え放題。大面積を管理するのは大変そうだなあ。
 さらさらの軽い土なので、靴が汚れ、風が吹くと土ぼこりがブハーっと上がり、いがらっぽくなることこの上なし。でもこういう土質こそが、土の中から掘って収穫するにはたいへん都合が良いのだとみた(雨が降ったらべたべたになりそうだが)。

 畑を前にしてあれこれ感慨にふけっていたら、いつのまに博物館の開館時間近くになっていた。急いで町に戻り、博物館へ向かう。
 小さな博物館ながら、歴史、文化だけでなく、現在の栽培技術についても詳細に展示してあった。

a0021929_2331120.jpga0021929_2332964.jpgアスパラガスのためにつくられた、数々の調理器具や食器の展示。


a0021929_2335920.jpg昔の収穫風景を再現。土を盛って、うねをコテできちんと成形して、土のひび割れ具合からアスパラガスの位置を確認して掘り取っているようす。現在はこれらの作業が機械化されて、より大規模な経営も可能となっているとのこと。


a0021929_235314.jpg春にはここで、アスパラガス掘取り実演イベントなんかもあるそうだ。うーん、いつか見たいものだなあ。
今は静かに株養成中。

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by terrarossa | 2007-12-21 02:58 | アスパラガスをめぐる旅