カテゴリ:サッカー( 46 )
2009年 11月 21日
2009年もドイツのサッカーを見に行く・その4
 ロベルト・エンケの死という衝撃はあまりに暴力的すぎて、何も言葉が出てこない。ともあれ、すべて終わってしまった今はただ、自分の中に、その事実を静かに収納しておく場所をつくるだけだ……

◆9月26日(土)ブンデスリーガ第7節 1.FCケルン対レバークーゼン……の前に。
 今回の日程最後の観戦は、通称「ラインダービー」と呼ばれる、隣接する地区のクラブ同士による試合となった。
 平日のカップ戦でも大盛り上がりだったケルンサポ、ダービーマッチともなれば一体街はどうなるんだろうか。
 果たしてそのケルン市内、道ゆく人々の服装や持ち物を見ていると、試合前日には既にチームカラーである赤白の2色が目につきはじめ、夜になるとビール片手に応援歌を歌い出す輩もそこかしこで目撃されるようになる。なお、滞在していたアパートは繁華街のど真ん中だったので、試合前日は夜明けまで歓声やら歌声やらが階下からどんがらどんがら鳴り響いていた。金曜の夜なのだから、全てがケルンサポではないんだろうが、熱い、熱すぎる。……で、たのむから早く寝て下さいケルンサポの皆さん。
 
a0021929_1541423.jpg これぞまさしく全身ケルン。ケルン市内の服地屋のショーウィンドウにて。山羊マークのケルンエンブレムのプリント生地でつくられた衣装の数々。だが、何か方向性が間違っているように思えるのは気のせいだろうか……

a0021929_1545119.jpg ケルンのファングッズ、山羊マグカップ。大手スーパーのREWEで、ファンでもないのに衝動買い(REWEはケルンの胸スポンサー)。
 そんなケルンのマスコットは本物のヤギ、ヘンネス君。

a0021929_158476.jpg 試合時にはいつもピッチサイドにいるようだが、あの大観衆と騒音がものすごいストレスになっているのではと思うと、なんだか気の毒な……

 ごく一般的なサポーターの応援グッズとして欠かせないのは、贔屓チームのマフラーだ。欧州リーグは厳寒期にも試合が行われるので、マフラーは防寒対策としても必須のアイテムである。ゆえにデザインは多彩で、小さなクラブでもたいていマフラーだけは何種類ものパターンが販売されている。 
 とりわけ気合いの入ったファンともなると、マフラーを腰ミノよろしくぶら下げるスタイルを採用するらしい。

a0021929_1591428.jpg ウエストサイズがでかいほど、ぶら下げるマフラーの本数を増やすことができるのだな。
 このほか、クラブのフラッグをマント状に羽織る、スカート状に腰に巻き付ける等のオプションもあるようだ。

a0021929_1593827.jpg こちらはフラッグを腰に巻いたブレーメンサポ。腕にはマフラー。
 クラブのワッペンやバッジがびっしりつけられたデニム地のベストを着用している年配のファンもいる(なぜかそういう若者はいない)。
 日本のJリーグでは、冬は試合を行わないため、防寒を目的とするマフラーというのはそれほど必要ではない。むしろ、暑い時期にも使えるものをということで、観戦グッズとしてはタオルマフラーというものが一般的である。形だけは欧州っぽく、でも機能的にはJリーグの開催シーズンに合わせて使い勝手の良いタオル地、というところが極めて日本的な発想だと思う。

a0021929_204375.jpg 名古屋グランパスのタオルマフラー。ロゴやエンブレムがあまり目立たないタイプのもの。欧州リーグのマフラーのように、Jリーグはタオルマフラーのデザインが多彩。

 しかし欧州でもシーズン当初は夏なので、マフラーを首に巻くには暑すぎる。そのせいかどうかわからないが、人々は長いマフラーを手首にでろんと縛って、腕を振り振りスタジアムへの道を闊歩していたのだった(オーバーハウゼンのマスコットも手首にマフラーを縛って振り回していたな……)。
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by terrarossa | 2009-11-21 02:27 | サッカー
2009年 11月 14日
Requiescat in Pace
 ブンデスリーガ初観戦は昨年の9月、BayArenaでのレバークーゼン対ハノーファー96の試合だった。最前列の席だったので、ハノーファーのゴールキーパーの姿はとても近くに見えた。ディフェンスは何をしているのだと言いたくなるほどぼっこぼこに蹴り入れられるシュートを必死に防いでいたのが、ロベルト・エンケだった。あの頃はますますドイツサッカーにおぼれていった時期で、手当たり次第関連雑誌や書籍を読み、夜な夜なネットの海を彷徨っていたので、様々な困難を経たのちに代表に選ばれた彼のことは知っていた。プロフェッショナルとして素晴らしい選手だと評価されていることも。
 この9月、3回目のドイツ旅行ではケルンに滞在し、ニーンブルクとブレーメンも訪れた。往路はハノーファーでREに乗り換えて、まずニーンブルクへ向かった。途中、"Neustadt"という駅に停車したことも覚えている。森と畑と、家々が点在する郊外の風景も覚えている。
 あれから2ヶ月後、まさにあの時乗った路線の、あの風景が見えるどこかの線路上で、彼は亡くなったんだ……
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by terrarossa | 2009-11-14 23:45 | サッカー
2009年 10月 24日
2009年もドイツのサッカーを見に行く・その3
◆9月23日(水)DFBポカール2回戦 1.FCケルン対ウォルフスブルク
 ミュンヘンで試合観戦した翌日ケルンへ戻り、その夜に行われたケルン対ウォルフスブルク戦を観戦。ケルンのファンは熱かった。乗車したトラム車内は赤白のユニフォームやマフラーを身につけたケルンサポで埋め尽くされ、ビール瓶のみ手にした輩が天井をバンバン叩きまくり、床をダンダン踏みならしながら大声でチャントをコール。レッツハイテンション。いいあんばいにできあがっております。
 面白かったのは、混み合っているとはいえ、ヨッパライどもが天井や床を叩く程度には隙間があるのに、途中駅でトラムを待っていた人(やはりケルンサポ)たちが無理に乗ってこようとしなかったこと。日本の首都圏のラッシュアワーだと、駅係員が助走をつけて突進しながら乗客を押し込むレベルの乗車率になって初めて、よっしゃ入った詰まったぞと実感するのだが、そんなのはワールドスタンダードな感覚ではないってことなのだな。
 彼らが手にするビール瓶は当然スタジアム内持ち込み禁止。てことで、駅へ降り立つとともに、瓶の中身を空にする行動が取られるのだった。あっちでもこっちでもラッパ飲みの一気飲みである。入場前にほどよくできあがってから、さらに場内にて、デポジット1ユーロのプラスチックジョッキでガバガバいくのである。なんだかすごくドイツだ。
 駅には瓶回収等で生計を立てているとおぼしきおっさんたちが待ちかまえていて、空になった瓶はそこらへんにうち捨てられることもなく、きっちり回収される。回収側としては、これほど効率よく無駄のないロケーションはほかにないだろう。うまいとこに目えつけたよな。

a0021929_624319.jpg ラインエネルギーシュタディオン(RheinEnergieStadion)。収容人数は50,374人(立見ありの場合)。

 対戦相手が昨シーズン王者のウォルフスブルクとはいえ、平日夜開催のカップ戦のためか、会場は6~7割の入り。それでもゴール裏はただならぬ熱気に満ちあふれ、難聴になりそうなほどの大歓声が最初から最後までスタジアム中に鳴り響いていた。

a0021929_633215.jpgゴール裏の混沌。
 この時点でのケルンはリーグ下位に沈み、今にもドボンかという非常に危うい順位だったが、直近の試合で今シーズン初の勝利を手にしてイケイケムード。対してウォルフスブルクのほうはなんとなくぴりっとしない感じだった。ということで、試合は点を入れてまた入れられてという泥臭い競り合いで、非常に面白い展開になった。もっとも、どちらかのチームのファンだったら、たいへん心臓に悪いゲームだったかもしれない。結局、ホームのケルンがねばって3-2で競り勝ち、接戦をものにした結果に、スタジアム中が熱狂。いい試合を見せていただいた。

 ところでこの試合では、長谷部が先発出場した。ドイツに渡ってからだいぶごつくなったようだが、もっとごつい人たちばかりの中では、それでも小柄で華奢に見えた。が、素人目にもたいへんよく働いている印象で、よく動きよく削り、よくボールを奪っていた。そんなだから相手にとってはよっぽど嫌な存在だったとみえて、彼がボールを持つと、スタンド中から物凄いブーイング。後半途中で交代するときもブーイング。それだけ敵にとっては脅威だと認められてるってことだから、これは喜ばしいことなんだろう。

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左から6番目にいるのが長谷部。
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by terrarossa | 2009-10-24 06:17 | サッカー
2009年 10月 11日
2009年もドイツのサッカーを見に行く・その2
◆9月22日(火)DFBポカール2回戦 バイエルン・ミュンヘン対ロット・ヴァイス・オーバーハウゼン
 ドイツ滞在中はケルンを拠点にしていたが、一日だけミュンヘンへ遠征した。リーグ戦ではまず確保不可能と思われる、メインスタンド4列目の席をネット一般発売分で購入でき、驚きの近さで観戦。前半は、相手が2部だからって舐めてかかってんのかバイエルンは、というようなゆるい展開でオイオイな感じだったが、終わってみれば5-0とビッグクラブの貫禄勝ち。たくさんゴールが見られて楽しかった。ルシオはインテルへ移籍し、デミケリスは怪我離脱中と、ディフェンスの層に不安を抱える中、この日もファン・ブイテンが攻守にわたって大活躍。センターバックがドッペルってすごいな。そして、期待の超新星と騒がれているトーマス・ミュラーは途中出場した直後にいきなりゴールを決めた。ノってる選手はやっぱり違う。
 オーバーハウゼンも頑張っていた。6、7、8番の選手が勢いがあって良かった。若手らしいので、これからに期待したい。スタジアム最上階のコーナーにちんまり陣取ったサポーターの応援もすごかった。数十人ほどしかいないのに、チャントがスタジアム中に響いていた。そしてマスコットがピッチサイドでやりたい放題。そのKYな存在感はまさにドイツのドアラ。口開きっぱなしのもっさい犬だったけど。バイエルンのマスコット・ベルニィを完全に食ってた気がする……てか、ベルニィが大人の対応をしていただけとも言えるが。

a0021929_2348533.jpg 写真を撮り損ねたのでオーバーハウゼン公式サイトより拝借。コイツがピッチサイドで暑苦しい応援活動を繰り広げていた。
a0021929_23483066.jpgところで、その公式サイトにあったこれは一体なんですか。


 得点時の、スタジアムDJと観客の掛け合いが楽しかった。

 DJ:ダニエ~ル ←得点した選手のファーストネーム
 観客:ファン・ブイテーン!! ←得点した選手の姓
 DJ:バイエルン!
 観客:3!←バイエルンの得点
 DJ:オーバーハウゼン!
 観客:0!←アウェーチームの得点
 DJ:ダンケー!
 観客:ビッテー!

 という感じで、これは昨年観戦したレバークーゼンのホームゲームでも同じようなやりとりだった。これを今年もBayArenaでやりたかったなあ……

a0021929_2351349.jpg 赤く輝くAllianz Arena


 試合翌日、バイエルン・ミュンヘンの練習場をちょとだけ見学。平日の午前中なのにおそろしい数のファンが待ち構えていてびびった。これが休日なら近寄れもしないだろう。警備もそれなり。さすがビッグクラブ。
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 キャプテン・ファンボメル不在のうちは、ラームがチームを先導しているんだなというようなランニングの様子。ファンボメルは怪我からの復帰に向けて、別なグラウンド内でひとり、黙々とランニングをしていた。

 控え組や若手は通常の練習。
a0021929_23522430.jpg 走り出すゲルリッツ(手前)とバウムヨハン(奥)。怪我離脱中だったデミケリス(左端)が練習復帰していた。

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by terrarossa | 2009-10-11 00:03 | サッカー
2009年 10月 10日
2009年もドイツのサッカーを見に行く・その1
 サッカー。

 もう首までどっぷりなんである。
 ヨーロッパはたいへん遠いので、昨シーズンあたりからJリーグ観戦にも行くようになった。残念ながら現在居住する県にJリーグのチームはないので、日本国内とはいえ、観戦のためには相応の時間と費用と労力がかかることに変わりはないけれど。

 そして今年も、欧州サッカー見たさにドイツへ行ってしまった。
 今回は11日間の日程で4試合観戦したが、どれもハズレ無しの楽しい試合だった。
 見た試合をひとくくりにして評するなど暴挙の極みであることは重々承知で一言言うなら「でかい、ごつい、はやい、うまい!」

 ということで、ミーハーな素人の雑感がしばらく続きます。ご了承下さい。


◆9月20日(日) ブンデスリーガ第6節 レバークーゼン対ブレーメン
リニューアルしたBayArenaでの今シーズン初観戦。

a0021929_23265428.jpg レバークーゼンのキャプテン・ロルフェス(左)と現在好調のFW・キースリンク(右)。どちらもキラキラ頭の、見た目紛らわしい二人は「バイヤーサニーボーイズ」と称されているとか。試合前の練習にて。

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 あいさつのしかたいろいろ。
 
 レバークーゼンとブレーメン、どちらも攻撃的なチームなので、この対戦カードはとても楽しみだった。そして期待どおり、試合は短いパスがさくさく回り、攻守の切り替えが目まぐるしい、ワクワクドキドキの展開となった。が、メルテザッカーやナウド、ヒーピアら、両チームのディフェンス陣が冴えていた。GK対決も見応えがあり、アドラーもきっちり働いていたが、ヴィーゼが神セーブ連発と乗りに乗っていた。それに対し、攻撃陣は決めきれずということで、スコアレスドローという結果に。見ている方としては点が入ってほしかったので、それがちょっと残念。
 フリンクスの老獪なプレーとマルコ・マリンの超絶テクニックは、シロートにもたいへんわかりやすいものすごさだった。印象的だったのは、今シーズンTSV1860ミュンヘンからレバークーゼンに移籍してきた新人君、ラース・ベンダーのスピード。まさか拾えないだろうというような球足の速いボールにきっちり追いついてしまう。この試合はバックスタンドの最前列で見ていたので、そんなプレーを目の前で何回も見せられた日には口あんぐりで「すっげー」という言葉しか出てこない。ただし、追いついた後の正確な処理がいまいち。彼はこの試合がブンデスリーガ(1部)のデビュー戦だし……まだ細くて薄くて頼りなげな感じだが、あと何年かする内にどんどんごっつくなっていくんだろう。これからじっくり経験積んで技を磨いていって欲しいなあ。

a0021929_23275158.jpg夜のBayArena。

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by terrarossa | 2009-10-10 23:37 | サッカー
2009年 09月 13日
Alles Gute zum Geburtstag !
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 昨年は、試合で黄紙を2枚もらって退場処分をくらったその日が誕生日だった、レバークーゼンのフリードリッヒ選手。今年はつつがなくその日を迎えてくださいということで、それなりに気合いを入れて作製。作者の一存で12世紀騎士コスプレしていただき、楯代わりに優勝皿を持たせてみた。
……ぜんぜん誕生日祝いじゃないじゃん、これ。

 いえこれでも盛大にお祝いしているつもりです。
 今後のますますのご活躍を期待しております。30歳おめでとう!
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by terrarossa | 2009-09-13 01:04 | サッカー
2008年 10月 16日
ドイツのサッカーを見に行く その七:ドイツ鉄道三昧(結果的に)
 前記事で長々と紹介したように、いかにも完璧をきわめていそうなドイツ鉄道のシステムだが、実は決定的な落とし穴がある。思い出したように突然起こる、列車の運休・遅れだ。常に信用ならない状態なら、どうせこんなもんよ、という気になるが、普段はけっこう時刻表通りに発着してるくせに、なんの前触れもなく、いきなりこういう事態が発生するから余計始末が悪い。こんなところで、どんだけすごいんだ日本の鉄道!と深く深ーく実感することになろうとは。
 
 今回は旅行最終日の前日、よりにもよってレバークーゼンからミュンヘンという最も長い距離を移動する時に「突然の運休」という事態が発生してしまった。前日の試合の興奮も冷めやらず、朝も暗い内から早起きしてレバークーゼンからミュンヘンを目指したというのに。ケルンメッセ駅で乗る予定だったICE、最初は「15分遅れ」などという表示が出ていたのでまあ仕方ないかなと思って待っていたのに、さんざん待たせた挙げ句にいきなり「やっぱ今日は運休しまーす」ってなんなんだよゴルァ。あんまりな仕打ちじゃないっすかあドイツ鉄道さん。それまで各路線をがんがん乗り倒してきたにもかかわらず、ほぼ時刻表通りだったのでさすがだなと思っていただけに、腹立たしさ倍増。折悪しくその日は土曜日で、大幅に遅れてやっとこさミュンヘンに着いてみれば、行くつもりだった店はすべて営業時間が終了しており、かなり壮大なスケールの無駄足を踏んでしまったのだった。
 や、そもそもレバークーゼン→ミュンヘン→ヴィースバーデン、というルートを日帰りで行こうなどと画策したこと自体が無謀だったわけだが。

a0021929_2344389.jpgドタキャンをくらい、「とにかくケルン中央駅へ行け」と言われて向かったホーム。ケルンメッセ駅で早くも日の出かよー。あーあ。

 すっかり意気消沈でミュンヘンから乗車したICEは、どこから来たのかどこへ行くのか(自分もそのうちのひとりだ)、大荷物を持った人たちでぎっちぎちに混んでおり、くつろぐ余裕まったくなし。
 その車中で、夕方六時すぎに車掌のアナウンスがあった。日本でもおなじみのダミ声系生音声で、録音アナウンスの補足(乗換駅とか、時刻とか)をするのかと思っていたら、なんと「本日のブンデスリーガ試合結果速報」の実況。土曜日の試合は15:30キックオフだから、ちょうど各会場での試合がすっかり終わった時刻である。対戦カードと結果が伝えられるごとに小さなざわめきが起きる。粋な計らいである。この時刻の実況が毎度のお約束なのか、それともたまたまサッカー好きの車掌さんだったからかどうかはわからないが、やはりドイツはサッカーの国なのだとしみじみ思う。

 さて、この日のビッグマッチはアリアンツ・アレナでのバイエルン対ブレーメンだったが、この試合の結果が読み上げられると、車内中から非常に大きなどよめきが起こった。これは何かあったにちがいないと思ったが、なにぶんダミ声ドイツ語だったので数字までは聞き取れず。で、滞在先に戻ってびっくり。バイエルン・ミュンヘンの歴史的敗退事件が起きていたのだ。2-5って……なにこれ、野球の試合ですか。
 その夜のスポーツニュースやスポーツショーは言わずもがな、翌日午前中のサッカー関連の公開討論番組(こんな生番組があるんだドイツ……)では、話題がすべてこの「歴史的敗退」についてで、夕刻になっても失点シーンの数々が繰り返し繰り返しスロー再生される始末。バイエルンの得点場面はたいへんおざなりな扱いで、古巣から2得点も上げたボロウスキ選手については、タイミングが悪すぎたよね、となぐさめの言葉をかけてあげたくなった。とにかく、ファンにしてみれば「もういいから、わかったから」と、うんざりするようなマスコミの騒ぎっぷりであった。クリンスマン体制に一新してからこれまでいまひとつだったのは事実だけど、たしか彼がドイツ代表を率いていたときも、結果が出せたのは最後の最後で、ずっと批判され続けていたんじゃなかったか。いまは我慢の時だと見守るしかない。でも、気長に待ってられないのが現代プロフットボール業界なんだよなあ。こういうとき、ビッグクラブは辛いのである。

 ところで鉄道の話に戻るが、これだけ大規模な鉄道網の敷かれているドイツだから、「あの人たち」がいない訳はない。らしき人々を実際に目撃することはなかったが、サッカー雑誌を買うために、各地各駅の雑誌スタンドをくまなく回っているうちに気付く。さほど大きくない規模の店であっても、鉄道関連の雑誌コーナーが膨大なスペースをとっていることに。旅客車系、貨物系、模型系……各ジャンルが網羅され、一体何誌あるのだろうかという充実ぶり。
 ドイツ鉄ヲタ、すげーいるんだ……やっぱり。

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ヴィースバーデン中央駅。ドイツが誇る高速鉄道、ICE(右)と近郊電車のSバーン(左)。高速化するほど形状が虫っぽくなるのは日本と同じか。
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by terrarossa | 2008-10-16 02:40 | サッカー
2008年 10月 16日
ドイツのサッカーを見に行く その七の前置き:ドイツ鉄道について
 今回の旅行は、フランクフルト近郊を拠点にあっちこっち動くことにしたので、ジャーマンレイルパスを利用した。おかげで高速鉄道(ICやICE)も乗り放題で、日帰りでもかなりの長距離移動ができた。
 ドイツの長距離鉄道は経由する路線が列車ごとに異なっており、「東海道新幹線」とか「山陽新幹線」といった路線名ではなく、乗車駅がどこで降車駅はどこか、というピンポイントの組み合わせで運行状況を調べる必要がある。したがって、時刻表もそのような体裁になっている。
 時刻表は、主な駅ごとに行先別のものが揃っており、無料配布されている。大きな駅だと、チラシ状ではなく、まとめて冊子になっていることもある。もちろんこれも無料である。なお、駅に掲示されている時刻表は、その駅に発着する列車が時系列に記載されているので、そこから目的の列車のホーム、停車駅などを知ることができる。

a0021929_295435.jpgヴィースバーデン中央駅発着の時刻表。わら半紙のような紙質で、手帳に入る大きさ。ケルン、フランクフルト、ミュンヘンなど、主要駅(目的地)別になっている。往復どちらの時刻も掲載されている。
a0021929_2111130.jpgマインツ中央駅の時刻表。一冊にまとめられたスタイルのもの。

 なお、IC、ICE等の長距離列車には、車内に運行計画表が置いてあり、停車駅、停車時刻、各駅ごとの乗り継ぎ時刻などが記載されている。時刻表通りの運行であれば、これは大変便利。そう、時刻表どおりならね……(遠い目)

a0021929_2233192.jpga0021929_212156.jpgICE629(列車番号)の運行計画表とその内容。わかりやすい。

 スタイルが日本の時刻表とは全く異なるので、慣れるまで少し時間がかかったが、目的地がはっきりしていれば、こっちのほうが断然調べやすい。ちなみに、決まった路線内を往復するRB、RE、Sバーン(近郊電車)やUバーン(地下鉄)の場合は、日本と同じ、停車駅の発着時刻を記載した様式の時刻表が配布されている。

a0021929_2125576.jpgケルン近郊を走るSバーンの時刻表。駅で無料配布している、手のひらサイズに折りたためるもの。

 また、工事の予定表、代替バスの時刻表なども随時発行されていて、ここらへんのきっちりかっきりシステマチックな管理はさすがドイツだと思った。
 ドイツ鉄道のホームページ(http://www.bahn.de)もたいへん充実している。出発地と目的地、日程を入力すると、乗車時刻や乗り換えなどの案内が表示されるようになっている。こういうサービスなら日本にもあるが、路線バスの到着・出発時刻までわかるようになっているのがすごい。訪問先が主要駅でない場合は、あらかじめホームページでタイムテーブルを調べておき、結果をプリントアウトしていくといいかもしれない。
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by terrarossa | 2008-10-16 02:32 | サッカー
2008年 10月 14日
ドイツのサッカーを見に行く その六:ブンデスリーガ初観戦
  9月19日(金)は待ちに待った、レバークーゼン対ハノーファー96の試合日。オンラインでチケットをとったはいいが、購入時点ではまだ日程が確定していなかった。試合は金曜夜に1試合、日曜夕方に2試合、残りが土曜に割り振られるようだが、もしこの試合が日曜になったら、帰国日のため観戦できない。日曜に当たりませんようにとただただ祈るばかりで、蓋を開けてみたら金曜夜。夜の試合なので写真撮影が極めて難しいこと決定、その日に滞在先に戻れない(別に宿をとる必要がある)ことが決定と、なんだかなあという感じになってしまった。いや、日曜にならなくて良かったと、ここは喜ぶべきなのだ。ついでに、雨が降らなかったことにも感謝せねば。
 そんなわけで金曜の夜。レバークーゼンに到着後、暗闇の中、まずチケットを受け取る窓口を探す。試合前のものすごい人出にもかかわらず、あたりに照明らしきものがほとんどないので、少々不気味な雰囲気である。ようやく見つけた窓口には長い列ができていた。順番が来てパスポートを出すと、クラブの封筒に入ったチケットを渡される。窓口のお姉さんが受取リストに現在時刻を書き込み、その脇にサインするよう指示してくる。パスポートと同じく漢字で名前を書くと、しばらく不思議そうにそれを眺めていた。封を切る。おお、ホンモノだ。現物を見るまでどうしても信じられなかったので、ものすごくほっとする。
 ……などと感慨にふけりながらもたもたしているうちに、八時を過ぎていることに気付く。キックオフは八時半。さて入口はどこ、と案内図を見ると、なんと全く反対側のゲート。急いでスタジアムを半周し、息を切らしてようやく到着。本当に最前列中央付近だった。ひゃー。

a0021929_3261749.jpg座席の真ん前(手前の赤い部分)がハノーファーベンチの屋根になっていた。目の前にはテレビカメラ。かぶりつきとはこういう状態を言うのか。
 ただ、スタジアムの配置はちょっと変則的になっていて、選手の入退場はコーナー付近だし、試合終了後も選手達はメインスタンドの方へ来ることはなく、バックスタンドとゴール裏で挨拶をして、そのままコーナーから出て行ってしまった。だからこの席は空いていたのかもしれない、と後になって思う。

 予定どおり八時半キックオフ。出入りも不自由な狭い座席にぎっちぎちになった状態で応援開始。隣は小学生くらいの男の子とお父さん。この父ちゃんがやたら熱く、拳を握りしめて叫ぶわ、ちょっとへぼいプレーなどしようものならシャイセ連発(教育上よろしくないと思うんだが)。閉口したのが反対側の隣にいたお姉さん。最初から最後までタバコを吸いっぱなしで、ドイツに分煙とか禁煙とかいう概念はないのか!と、うんざり。げっほげっほ。その上気温は氷点下近くまで低下していき、やがて上着一枚では耐えられない寒さになってくる。後半30分を過ぎると、あまりの寒さに集中がとぎれがちになる。
 前週、2部リーグの試合を見ていたのでなんとなくイメージはできていたが、1部はもっとすごかった。やっぱりこの目で見なくちゃわからない。スピードが桁違いだし、その状態で45分走りっぱなしというのがすごい。このスピードとフィジカルでぶつかりあったらさぞかし痛いことだろう。
 なにぶんプレー経験のない素人なので専門的なことは全くわからないが、こんだけ速くてなぜこんなに正確にパスを出せるのか、とか、いて欲しいところにちゃんと選手がいる!などということにいちいち驚いてしまった。イングランド・プレミアリーグなんかはもっとすごいというらしいが、これよりすごいって、一体どんなだろう。
 素人目にも特にうまいなあと感じたのはロルフェス選手。なんというか、難しい局面であっても、いとも簡単なことのように、実にさり気なく爽やかにボールを奪っていくのだ。中央でゲームを仕切っているのがよくわかる。

 見てる方としては様々な悪条件が重なってしまったが、試合の方は、レバークーゼンのファンにとってはもう痛快爽快のウハウハな展開。「メンバーの若さ」の良い部分が存分に発揮された、というような試合だった。始まってすぐにロルフェス選手がきっちり得点すると、後は新加入のヘルメス選手の独壇場。勢いよくハットトリックを決め、リーガ得点王争いのトップに躍り出る大活躍となった。それにしてもハノーファーは良くなかった。なにもかもかみ合わない感じ、とはこのことを言うんだろうか。
 イケイケドンドンの展開に観客は大興奮。最初っから総立ちだったが、その上次々とウェーブがやって来る。小さいスタジアムなのですぐに次の回が来て、二周しても終わらない。これを気にしている内にうっかり4点目を見逃してしまった!こんなお祭りみたいな楽しい試合に、フリードリッヒ選手が出られなかったことを、ここでちょっと残念に思うのだった。

 4-0と、レバークーゼンが圧倒的な勝利をおさめて試合終了のホイッスル。試合が終わると同時に観客がどんどん捌けていく。余韻にひたることもなくあっさり帰ってしまうのは、時間が遅いということに加えて、寒さのせいもあったに違いない。
 いかん、これ以上ここにいたら確実に風邪をひく。しかもこの寒さの中、宿まで二十分以上歩かねばならない……スタジアムを出てすぐに目に入ったのは売店。あまりの寒さに、全く買う予定のなかったマフラーを購入してしまった。応援時に掲げる、あの派手なやつである。とにもかくにも、16ユーロの暖かさが身に染みる。通勤時にはちょっと使えないけれど、結果的に風邪を引かなかったので良しとするか……a0021929_3301413.jpg
試合終了後のスタジアム。あっという間に人がいなくなってしまった。
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by terrarossa | 2008-10-14 03:40 | サッカー
2008年 10月 11日
ドイツのサッカーを見に行く その五:選手と会う
 練習を終えた選手たちがグラウンドを出て行く。いずれもウェブ上の写真などで見知った顔だ。出入口にはセキュリティのおじさんが一人立っているだけ。その傍らで、怪我も癒え、いよいよ次の試合から復帰するらしいゴールキーパーのアドラー選手が、常連とおぼしきじいさんと何やら話をしている。
 あまりにも人が少ないと、かえって写真を撮りにくい。それでなくてもこの状況で、アジア人は目立つ。浮きまくっている。わりと長い時間見学していたのに、結局ほとんど練習中の写真は撮っていない。

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唯一撮影した集団のショット。練習がひととおり終わって遊んでいるらしきところ。手前ではコーチ陣が首脳会談。

 言葉もわからないので、声をかけたりサインをお願いしたりすることもできず、目の前を通り過ぎていく選手たちをただぼんやり見送るだけ。というか、そもそも今まで、プロのスポーツ選手に声をかけたりサインをもらったりしたことはなかったし、そういうものが欲しいと思ったこともなかったのだ。
 しかし、ちょっと気になっていた選手が観戦予定の試合に出られなくなったと知って、黙ってはいられなくなってしまった。三日前の試合で、イエローカードを2枚もらって退場になり、次節出場停止になってしまったマヌエル・フリードリッヒ選手のことである。わざわざドイツくんだりまで試合を見に来たこちらとしても涙目な状況だが、退場になったその日は、なんと彼の誕生日。向こうだって踏んだり蹴ったりの、まさにアンハッピーバースデーだったのだ。
 ところで彼は、今この現在も、自分にとっては謎の人だ。ドイツ代表に選ばれるレベルの実力派センターバックだが、プライベートが取りざたされるようなスター選手ではないので、プレーヤーとしてのデータ以外の情報を得ることがなかなかできない。そういう限られた状況で、「勝利の後、ゴール裏に向かって全力ダッシュ&ヘッドスライディングを先導、実行」とか「お立ち台で拡声器片手にシュプレヒコール」とか「どう見ても偶然としか思えないロングクロス崩れのスーパーゴールを決めて、ハイテンションで喋りまくるインタビュー映像」などといった動画がネット上に残されている。てか、前に紹介したサインカードのガテン系コスプレで、芸術のために(←嘘)潔く脱いじゃってるのが彼その人である……という風に極めて断片的な情報を並べてしまうと、まるでネタ提供キャラのようである。いや、そんなはずは(確証がもてないあたりが弱いところだ)。写真を見てる限りでは、陽気ではっちゃけた人と言うよりは、むしろそれとは真逆の、静かで落ち着いた佇まいを感じるのになあ。謎は深まるばかりである。

 さて、この極めてギャラリーが少ないゆるゆるな状況の中、件のフリードリッヒ選手が出口に向かって歩いてくる。残っている選手はもうほとんどいない。いやがおうにも緊張感が高まる。が、そのまま出てくるかと思ったら、ピッチ上に散乱しているペットボトルを丁寧に拾い集め、いきなり片づけ作業を始めるではないか。チームでは年長の部類に入る彼がなぜ?と少々疑問に思う。出場停止のペナルティなのか、それとも、こういうことをさらりとやってしまう素敵な人なのか。後者であってほしいんだが。
そして「お片づけ」も済み、いよいよ彼がグラウンドを後にする。目の前を通り過ぎてゆく。前述したとおり、こういう試みは全く初めてである。言葉もわからない。どうしようどうしよう。
 「え、えくすきゅーず・みー」
 出てきた言葉はトホホなうっすら英語、それだけだった。だが彼は振り向き、「何か?」という感じでにこりとほほえんだ。うわ、ほ、ホンモノだー!(何を今さら)
 「はじめまして、わたしは、にほんからきました。わたしは、こんしゅうまつのしあいをみにいきます。しかし、あなたは」
もうやぶれかぶれのジャパニーズ・イングリッシュ(まずい教科書朗読調)である。それがどうやら奇跡的に通じたらしい。なぜなら彼は「ばっと・ゆー・きゃんと……」とこちらが言い終わらないうちにちょっと顔をしかめて「あー、やっちゃったんだよねえ」と肩をすくめてみせたのだ。
 サインをお願いすると、彼は両手にぶら下げていたプロテクターやら目印用のコーンをそのまま地面にぼとぼと落とし(置いて、ではなく)、その場で快く応じてくれた。急ごしらえのバースデーカードを渡し、最後に写真撮影をお願いする。じゃ、そこで……と言い、離れてカメラを構えると、彼は「えっ?」という感じの、ものすごく意外そうな顔をした。一緒に撮るんじゃないの?と腕をこちらに伸ばしかけてくれていたのだ。だがここで、あろうことか、緊張のあまり一言、「No」と断ってしまった!なんてこった。ほんの一瞬だが、肩すかしを食らってがっかりしたような彼の表情を今も覚えている。いやほんとに申し訳ないことをした。ごめんなさいというほかない。
 身長差があり過ぎて、仰け反りながら撮影したら、なんだかおっかない下からのアオリ構図になったため、すんませんちょっとしゃがんで……と身振り手振りでお願いしたら、あーごめんよ、と笑って中腰になってくれたときのショットがこれ。

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レバークーゼンのディフェンダー、マヌエル・フリードリッヒ選手。

 誕生日に退場くらってへこんでないはずはないというのに、突然やってきたいちファンに対して、律儀にもフルコースのファンサービスをしてくれたのだ。たまたま他に人がいなかったとはいえ、ペットボトルをひとつひとつ拾い集めて片づけていたさきほどの行動同様、非常に丁寧で心のこもった対応だった。プロフェッショナルかくあるべし。やーもー、やっぱりすげーかっこえかった。ツーショット断ってごめんなさいだけど。実際会ったら、謎が解けるどころか、どんな人なんだかますますわかんなくなっちゃったけど。

素敵な笑顔をありがとう。今後なおいっそうご活躍されることをお祈りしています。
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by terrarossa | 2008-10-11 15:55 | サッカー