カテゴリ:いきもの( 37 )
2013年 10月 12日
恐怖のビジュアル
a0021929_20483475.jpg うおおおお!
 あまりのでかさに、つい定規をあてて撮影してしまったクロメンガタスズメの終齢幼虫。あとで検索したら、同じように定規を当ててる画像がいくつもヒット。うん、こんなん目の前にいたら、絶叫するか、定規を当てて写真撮るかどっちかだな。
サイズだけなら、間違いなくワールドクラスだろう。

a0021929_1154964.jpg トマトの葉裏に生み付けられた卵。ガの卵としては大きいという印象。トマトも生育終盤につき、葉かび病やオンシツコナジラミが一緒に写り込んでおります…


a0021929_1162031.jpg 孵化間もない頃はこんなに小さいのに、どうしてあそこまで育つんだ。黒いアンテナかしっぽみたいな尾角は、最初っからちゃんとあるのね…さすがスズメガ科。


 上の終齢幼虫は無事蛹化したのち、約1ヶ月後羽化したのだが…


a0021929_1165273.jpg 背面に浮かび上がる不気味なドクロ模様。幼虫のインパクトだけでおなかいっぱいだというのに、成虫はそれを凌駕する勢いのビジュアルなんである。
 このガのお仲間は、ホラー小説「羊たちの沈黙」の表紙に使われている。いかにもという妥当な選択だな。
 おまけに、見た目に反して、基本まったりした動きのおとなしいガなのだが、体をつかむとギーギー鳴くのよこの方は…カミキリムシとかセミをつかんだ時の音みたいのを立てて抵抗するの。ガなのに。
 これがどっか外国から侵入した外来種などではなく、もともと日本に生息しているガというのだから…九州など暖かい地方にいたものが、近年分布域がどんどん北上して、現在はここトーホクでも確認されるようになった。ナス科の植物が食草ゆえ、農業害虫扱いなのである。や、あのガタイなだけあって、食う量も半端ないですし。

a0021929_1172413.jpg いま飼育してる個体は、たぶん4齢になったところ。模様がいっそう派手派手しくなってきた。ナイキのシューズとかにあるような柄?(←気のせい)

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by terrarossa | 2013-10-12 01:24 | いきもの | Comments(4)
2013年 08月 09日
ようやく梅雨明け
 トーホクは延々と長雨・日照不足が続いたおかげで、夏なら当然の日差しと暑さに、まだ身体がいまひとつ慣れません…


a0021929_111144.jpg それはどうやらこの方も同様らしい。
 なんかすーげー暑そう。


a0021929_112248.jpg たぶんシュレーゲルアオガエルだと思う。アマガエルより一回りは大きい、きれいな緑色のカエルで、里では見かけない種類。バタくさい名前だけど、れっきとした日本固有種のカエルなんだとか。

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by terrarossa | 2013-08-09 01:24 | いきもの | Comments(2)
2013年 08月 01日
まぎらわしいにもほどがある
 摘果したナスです。
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 いや、ナスだけじゃない。よく見ると、なんかいる…
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 見事な保護色のカタツムリさんがいらっしゃいました。
 たぶんウスカワマイマイだと思うが、こんな色の濃い個体、初めて見た。まさかナス食ってたからってこんな色になったのか?(違うと思うぞ)
 うーん、謎だ。

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 アングルを変えて撮影したら、さらにまぎわらしくなった。

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by terrarossa | 2013-08-01 00:46 | いきもの | Comments(0)
2012年 11月 22日
ミクロモフモフの世界
 これまでのぬるい気候とは一転して、冬まっしぐらの今日この頃なのである。
 となれば、あたたかくてフカフカでモフモフなものをつい求めたくなる。

 そしてモフモフは、身近でミクロな世界にも存在する。

a0021929_285395.jpg クロマルハナバチ。
 見るからにふっかふか。しかしハチなのでうっかり触る訳にもいかないのが残念である。

a0021929_2102389.jpg イチモンジセセリ。
 小型のチョウなので見落としがちだが、背中のモフモフ具合ときたら相当なもの…しかし動きが素早いので、これもなかなか触らせてはもらえない。

a0021929_2173144.jpg ヒメヤママユ。
a0021929_217253.jpg モフモフ部分を拡大。
 いわゆるモスラの類なので、ビジュアル的に無理な方もいらっしゃるだろう。しかし、いまいち鈍い動きのため捕獲は容易、かつ、その充分な大きさもあり、実際に触れてそのモフモフ具合を確認することが可能な、お得感溢れる昆虫なのである(虫の側からすればストレスてんこ盛りになるだけで、迷惑この上ない行動であるが)。

a0021929_2185316.jpg ムラサキツマキリヨトウ。
 モフモフなんだけど、なんかキリッとしている印象。色は地味ながら、よく見るとゴージャスな模様。動きも機敏。

a0021929_2195288.jpg ヒトリガの幼虫。
 初夏にかなりの高速で道路横断してる毛虫といえばこの方、と言ってもいいほどメジャーなガの幼虫。餌も食わなくなって落ち付きなくあっちっこっち歩き回ってるのは、蛹になる場所を探してるためなんだとか。

a0021929_219495.jpg マイマイガの幼虫。
 モフモフうんぬんというより、背中に並ぶ模様の特異さに衝撃を受けた、でかい毛虫。なぜにきっかり青と臙脂の2色に分かれているのだ?青と臙脂といえばFCバルセロナじゃ…(←ヤメロ)


a0021929_2205632.jpga0021929_2204298.jpg
 そして最大の衝撃を受けた「モフモフさん」がこの方、リンゴドクガの幼虫。こんなド派手な黄色い毛虫が普通に日本に(それもトーホクに)いたなんて!
 しっぽかアンテナみたいに一束だけ赤い毛束というのが現実離れしてるし、黄色い毛に黒い体って…まるで阪神タイガースかボルシア・ドルトムント…(←だからヤメロと)
 ちなみに、リンゴドクガという名の通り、これはドクガ科に属するガなのだが、この鮮やかな黄色い刺毛に毒は無い。実はドクガ科のガ全てが毒刺毛を持っている訳ではないんだそうだ。とはいえ、もちろん危険な輩もいるので、種類のはっきりしない毛虫は、いくらモフモフだからといっても、触らないほうが無難である。
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by terrarossa | 2012-11-22 02:47 | いきもの | Comments(1)
2012年 11月 20日
かぐわしき方々の華やかなる装い
 生きてました。
 何かあったとか、そういうことではなく、単にさぼっていただけです。
 相変わらずの日常でした。


 しかし、さぼるにもほどがある。
 いつの間にやら酷暑の夏はとっくに過ぎて、かぐわしき方々が、軒先やら壁のすき間に大移動を始める季節となってしまった。

 とりわけ人家周辺をご贔屓にされるのはこの方。
a0021929_333089.jpg クサギカメムシ。
 成虫で越冬されるこの方々の集いの場ともなれば、たいへん強烈な臭いに悩まされることになる。


 a0021929_335013.jpg震災により、恐怖のトイレと化した勤務先も、1年近く放置されたのちようやく修理されたのだが、壁を塗り替え、窓を交換し、リニューアルされて美しい外観となったにもかかわらず、秋のカメムシ臭だけは以前のままという残念な事態になっている。

 クサギカメムシは地味な色のカメムシだが、カメムシというと、実に華やかな装いの方々も多いのだった。個人的には、ブンデスリーガのクラブカラーをつい連想してしまう。いや、カメムシの色柄見て連想とか、どうかと思うけどさ…

a0021929_34268.jpg ナガメ。菜につくカメムシなので「菜亀」なんだとか。うん、たしかに白菜にいっぱいたかってた。この方向から見た模様は、まさにこういう顔文字そのもの→( ̄Å ̄)
a0021929_345443.jpg 職場の敷地内にいたアカスジキンカメムシ。メタリックグリーンの地に赤の筋模様がきらびやか。
a0021929_352515.jpgメタリックブルーのルリクチブトカメムシ。植物を餌とするものが多いカメムシだが、こちらは他の昆虫を捕食する肉食系カメムシ。
a0021929_355861.jpg たぶんエゾアオカメムシの幼虫(未同定)。卵から飼育していたのだが、成虫になる前に死んでしまったので同定できず。緑、黒、白というと、ボルシア・メンヘングラードバッハの配色だなあ。
a0021929_36382.jpg ツノアオカメムシ。メタリックグリーンの大きなカメムシ。緑といえばヴェルダー・ブレーメン(え?)。
a0021929_371035.jpg アオクサカメムシの幼虫(たぶん)。同じ緑でも、ヴォルフスブルクはこっちの色合いかも…
a0021929_374155.jpg ちなみに、ドイツ・レバークーゼンの公園内にいたカメムシは、レバークーゼンカラーの赤と黒だった。

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by terrarossa | 2012-11-20 03:19 | いきもの | Comments(0)
2011年 10月 07日
運動不足は長寿の秘訣?
 ハスモンヨトウの蛹から出てきて、2010年10月27日に羽化したヤドリバエの一種(未同定・前記事参照)は、翌2011年1月7日まで、73日間生きていた。最後の方は翅がすり切れて多少みずぼらしい姿になりはしたものの、砂糖水をティッシュペーパーにしみこませた餌だけでずっと元気に生きていた。一体コイツの本来の寿命はどれくらいだったんだろうか。だが研究目的でもないかぎり、ハエの成虫なんぞ好んで飼育する人など皆無に近いとみえて、ハエ成虫の寿命がどのくらいかとか明記してあるような文献はなかなか見当たらなかった。
 それでも、実験動物としてよく継代飼育されているショウジョウバエについては、室内で大切に飼えば60日くらい、自然環境下ではその半分くらいの寿命という、おおざっぱな数字が出ている。「ハエ」の成虫の寿命は約4週間と書かれていたものもあったが、これは多分イエバエのことを指していると思われる。さらに、飼育した場合は80日程度生存するという記載もあった。飼育下での生育環境は、餌がじゅうぶんにあり、適温で、外敵のいない環境であるから、自然環境下での寿命に比べ長くなるのは当然と言えば当然だろう。
 ところが、飼育環境下でハエの寿命が延びる要因はそれだけではないらしい。狭い空間で飼育したハエ、つまり運動不足のハエの方が、長生きするというのである。

 これには、活性酸素の存在が関与しているのだそうだ。

 激しい運動、喫煙、ストレス、紫外線などが原因で体内に産生される活性酸素は、疲労や老化の原因となる有害な物質である。しかし、人間の体はうまく恒常性を保つようにできていて、活性酸素を作り出すシステムが存在する一方で、それを取り除く酵素の存在(防御システム)も同時にある。動物は、このような機能が備わることで生命を維持しており、活性酸素を処理する酵素の働きが高い動物ほど、寿命が長いと言われている。また、体重あたりの酸素消費量も寿命と密接な関係があり、体重に比して酸素消費量が多い(活性酸素の発生が多くなる)動物は、寿命が短くなると考えられている。

 人間の場合は、よほど過度な運動でない限り、体を動かし、スポーツを楽しむことは体に良い影響を与えてくれるし、様々な側面から、適度な運動は健康を維持する上で必要とされている。酸素消費量が増える=代謝が盛んになって活性酸素の発生量が増えても(疲労しても)、それを解消してくれる酵素の働きがある(疲労回復できる)からだ。

 ところが、寿命が短いハエのような動物は、代謝が高く体内に活性酸素が産生される量が多いにもかかわらず、それを解消してくれる酵素の働きが弱いので、飛翔行動などの「運動」によって産生された活性酸素は消えずに体内に蓄積していく。つまり、人間とは違い、「運動するほど疲労は蓄積していき、老化が進む」状態となる。
 これを裏付ける話として、狭い容器で飼育したハエ(運動量の少ないハエ)が、広い容器で飼育したハエ(運動量の多いハエ)より長生きするとか、翅を除去して飛べなくしたハエが、翅があって自由に飛び回れるハエよりも長生きするというデータがある。運動するたびに疲れが溜まり続け、ちっとも疲労回復しないで老化していくのがハエである、と書くと、なんだかハエが大変気の毒になってくるが、だからといって、長生きする代わりに飛べないハエというのも、ハエとしてどうなのか、と思うんだが。

 ということで、羽化した後も、そのままシャーレに入れっぱなしで飼育したヤドリバエ君は、狭い空間も幸いして長寿につながったと言えそうだ。運動不足は長寿の秘訣。ハエに限っては確かにそういことになるんだろうが、それもなんだかなあ…

a0021929_5293853.jpg最晩年のヤドリバエ。翅はぼろぼろになったが、最期まで大切な脚のお手入れに余念はなかった。2011年1月4日撮影。

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by terrarossa | 2011-10-07 05:39 | いきもの | Comments(0)
2010年 12月 24日
雪がガンガン降っている
 ここは、ホワイトクリスマスとか、悠長なことを言ってられないレベルで雪が降る地域である。一晩で1m近く平気で積もったりする。ああ、早起きと腰痛の季節がいよいよ今年も到来したか…

a0021929_2352538.jpg アカガネサルハムシ。メタリックグリーン×メタリックレッドの配色は、まさにカラー!

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by terrarossa | 2010-12-24 23:10 | いきもの | Comments(0)
2010年 11月 23日
腹に一物(物理的に)
 サッカー関連でこちらのブログをにいらしてくださった皆様、すみません。この類の話題もまた、一貫性まるで無しな当ブログのもう一つの顔なんです実は……

 現在の職務上、野菜類を食害するガの幼虫などを捕獲し、種類を特定するために、成虫になるまで職場の机上で飼育して確認するということを時々行っている。
 といっても、試験研究業務ではないので、とりあえず成虫まで育てて種類が確認できればそれでOK。たいがい飼育はシャーレだったりカップ味噌汁の空容器だったり、その時そこにあるものを使う。ガは、幼虫の内は脱皮するたびに色や模様が変わるだけでなく、個体変異が大きい種類もあるので、成虫にして確認したほうがわかりやすい。
 いわゆる農業害虫として問題になっているガの多くは、幼虫の時はたいそう派手派手しい色柄のもいるが、アースカラー系かグリーン系の保護色のヤツの方が多いし、成虫はおしなべて地味ーな色合いのものばかりで、ビジュアル的にはあんまり楽しくない。それでも、幼虫→蛹→成虫とかなりドラマチックな形態の変化があるので、無事に羽化して成虫になれば、そこそこの感動はある。なにより種類特定という点では、とにかく成虫になってもらわないと、飼育してきた意味がない。

a0021929_1618964.jpgヨモギエダシャクの幼虫。枝に擬態して、ぴっしりまっすぐポーズをとっている。

 ところが、野外から捕獲してきたガの幼虫は、かなりの高確率で「お客さん」を飼っている。いわゆる、寄生バチや寄生バエの類である。彼らは、宿主(ガ)の命に別状のないところから食い進み、宿主はその間、普通にエサを食べつつそこそこ成長する。しかし、さあもうすぐ蛹だ、とか、蛹になったからあとは羽化、というところで、成長したハエまたはハチの幼虫は、宿主の体を食い破って脱出してくるのだ。かくして、ある日突然、崩壊した死骸の傍らで、俵型の茶色くてでかいハエの蛹や、スリムな黄色や白のハチの繭がごろごろ転がっているというエグい光景(画像掲載はあえて自粛いたします)を目にするのである。
 種類を特定しようとして飼育してる立場ならばありがたくないことだが、こういった寄生バエや寄生バチがいるからこそ、適正な個体数の調整が行われ、自然界はうまいことバランスを保つことができているとも言える。時には大発生して、農業上しばしば問題となるガの天敵として、彼らは重要な存在なのだ。

a0021929_16184273.jpg ホウネンタワラチビアメバチの繭(蛹)と成虫。画像の茶色のマス目は1㎝角。超スリムな小さいハチで、野外でそれと意識して見つけようとするのは大変困難である。でも、白黒まだらの繭は、注意していれば割とよく見かけることができる。「ホウネンタワラ」は「豊年俵」の意で、この俵型の繭がたくさんある畑は(農作物を加害するガの個体数を減らしているということになるので)豊作の兆しである、というところからきている。


a0021929_1618594.jpg ハスモンヨトウの蛹を食い破って出てきたヤドリバエの一種。ヤドリバエの類は、似た形態のものが多くて、素人にその同定は難しい。よく見ると細部はかなり違っているが、ぱっと見、衛生害虫としておなじみのイエバエととそっくりで、見た目でかなり割を食っているんではなかろうか。このビジュアルでは、間違いなく蠅叩きで追いかけ回されたりする対象扱いだろうな。農業上は有用な天敵なんだけどなあ。

 なお、このヤドリバエ君は10月27日に羽化したのだが、現在のところ、ティッシュに染みこませた砂糖水を摂取しつつ元気に生きながらえている。エサを交換する時は、ハエが脱走しないよう、飼育容器ごと10分ほど冷蔵庫に入れ、ハエの体温を下げて動きを鈍くしてから入れ替え作業を行う。手がかからなくて飼いやすいのでおすすめ!……って誰得情報なんだコレ。
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by terrarossa | 2010-11-23 16:26 | いきもの | Comments(0)
2009年 04月 19日
夜の桜(しか撮れなかった)
 いつもより若干早かった桜の開花。散るのもあっという間だった。で、写真が撮れたのは結局夜だけとなった。

a0021929_495235.jpgライトアップされてる橋と桜を遠くから。

a0021929_4113390.jpgこの夜は風もなく、ノンストロボでぶれずに撮れた。

 オリンパスμ-30を使い始めて6年目。そろそろ新しいデジカメが欲しい……
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by terrarossa | 2009-04-19 04:16 | いきもの | Comments(0)
2009年 04月 19日
ちいさいおともだちはじっくり育つ
 そいつとの邂逅は5月中旬だった。

 とあるアスパラガス畑で見事に保護色のイモムシを捕獲。てか、最初は虫がついていることに気づかず、危うく握りしめるところだった。なかなか美しい色合いだったし、なんというか、気持ちいいくらいアスパラをぼりぼり食っていたので、そのまま持ち帰り、職場の自分の机の上で飼ってみることにした。だいたいこの手のガは、早いとひと月あまりで一世代経過する。捕獲した時点でかなり大きかったので、わりとすぐ蛹になって、あっという間に成虫になるだろうと思っていた。

 ということで、シャーレ内で飼い始めた謎のガの幼虫、そりゃねえだろうというくらい尋常ならざる食欲で、まさに鬼気迫る食いっぷり。数日後に脱皮すると、更に模様が派手になるとともにおそろしく巨大化し、いただいてきたくずアスパラを次々と投入するも、あっという間に完食。最初は多少余裕のあったシャーレだが、すっかりメタボ体型になってしまったイモムシ君は、今や膨らんだ体がガラス面にくっついて、もぞもぞ動くたびに重いフタがかちゃかちゃ音を立てるようになってしまった。放置すれば容器ごとひっくり返されて脱走という事態に陥ることだろう。虫嫌いの同僚もいるので、これではまずい。

 しかしそれから間もなく、嘘のようにぱったり餌を食べなくなり、落ち着きなく動き回るようになった。多くのガは、蛹になる直前にこのような行動が見られる。そこで、カップ味噌汁の空容器に、細かくちぎったトイレットペーパーを入れ、その中へ移しかえた。土中で蛹化する種類なのだとしたら、敷き詰めたトイレットペーパーを適当に綴り合わせて蛹になるはずだ。

 ところが、それから何日経っても蛹になる様子は全くない。かといって餌を食べることもない。ぱっつんぱっつんに膨らんでいた体はどんどんしぼんでちぢんで、全盛期(?)の半分近くまでサイズが落ちてしまった。動きはすっかりにぶくなったが、容器を動かすともぞもぞ動く。たしかに生きている。しわしわ状態ながらもとりあえず生きているようだからと、乾燥しないよう時々水を与えながら飼育を継続、そしていつの間にか三ヶ月が経過。暑い夏が過ぎ、秋になっていた。蛹化せずに三ヶ月経過ってどうすりゃいいんだ?今後の処遇を如何にすべきか……と思い始めていたある日のこと、そいつは突然蛹になったのだった。
 
 もう寒くなる時期だし、このまま越冬するのかもしれないと覚悟を決めて、さらにカップ味噌汁の容器内を机上に置くこと二か月。いいかげん寒くなって、コート無しでは耐えられなくなった11月上旬、なんとそいつは羽化して成虫になったのだった。なにもこんな寒くなる時期にガにならなくたって……とつい思ってしまうような生態のそいつは、アヤモクメキリガという名前のガだった。成虫で冬を過ごすガは、フユシャクなど一部の種類を除いてほとんどいない。ついでに前蛹(=ぜんよう:蛹になる前に幼虫のままじっとしている状態)で三ヶ月も夏眠するガというのも珍しい。なんとも派手派手しい色合いの幼虫だが、それほど多く見られるわけでもなく、さらに成虫は他の夜行性のガのように燈火に集まることはほとんどないので、狙って捕獲することは難しいそうだ。

a0021929_2515179.jpg別ショットはこちら。見事な保護色。

a0021929_2521437.jpg脱皮後、さらに食欲増進し、はちきれんばかりに膨らんだ幼虫。ちょっかいを出すと頭を内側にくるんと丸める。シロシャチホコフクラスズメとは動きの方向が全く逆。反り返られると威嚇されてる感じがするが、内巻きだと「いやん」のポーズに見える。ちょっとカワイイ……かも。体長約5センチほど。この後、嘘のようにしぼんでしまうが……

a0021929_2523417.jpg9月上旬、突然蛹化。

a0021929_2525045.jpg11月上旬、突然羽化。幼虫時代からは想像もつかないような地味ーなお姿。だが、すっかり葉の落ちた季節に活動するのだから、これが身を隠すために丁度良い色合いなのだろう。
 この後、野外へ持って行き、さようならする。

 ガの飼育が半年間にも及ぶうちに、同僚のうちの何人かは「ちいさいおともだちはまだ生きてるの?」と時々たずねてくるようになった。あれから元気で寿命を全うしたかなあ……
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by terrarossa | 2009-04-19 03:02 | いきもの | Comments(5)