2009年 02月 28日
アラブ・ポップはドドンパドン
a0021929_2451863.jpg 二年前に現在の職場に転勤して以来、通勤時間は往復で二時間弱、業務での運転を含めると、一日の走行距離が200㎞を超える日なんかもしばしば発生するようになった。最初の内は長時間の運転にくたびれ果ててうんざりだったが、さすがに二年も経過すると少し慣れてきて(しかしすっかり腰痛が定着してしまった……)、運転中に音楽を楽しむ余裕も出てきた。ということで今、通勤途上の車内で、「ひとりアラブ音楽まつり」を大々的に開催中である。三年前の「ひとりアラブ映画まつり」に続く、久々の脳内ビッグイベントである。
 アラビアン・ポップスとの邂逅は、さかのぼること二十年の昔、ノイズやフェージングと格闘しつつ受信に成功した、クウェートやヨルダン、アラブ首長国連邦のラジオ番組でだった。「これはいったいなんなんだ!?」というカルチャーショックとともに多くの疑問がわきおこりはしたものの、その世界ははるかに遠く、当時はそれ以上深く突っ込む機会も術もなく、保留状態のまま歳月が流れていたのであった。
 そして現在。いやほんっとーにインターネットってすばらしい。CDを入手し、ネット映像を閲覧し、めくるめくアラブ音楽の世界にどっぷり大ハマリの今日この頃なのである。
 アラブの流行音楽は、全力直球勝負。変化球無し。熱く、そしてギンギンに濃い。サウンドもさることながら、アーティストの外観も同様である。わかりやすい。女性アーティストはセクシーダイナマイトなゴージャス美女、男性アーティストはエネルギッシュでガチムチ体型……なぜかメタボ気味の人が多いような……
 温帯在住で農耕民族の日本人には、アラブ・ポップの暑苦しさとくどさに胸焼けし、いっぱいいっぱいだと思う人のほうが多いかもしれないが、逆に向こうの人が現在流行中のJ-POPを聴いたら、難解なうえに薄すぎて、さぞかし物足りないと感じるんじゃなかろうか。気象条件および住む人の面構えや食生活は、その地で好まれる音楽の傾向と無関係ではないだろう。てか、むしろ強い相関があるに違いない。
 ヒットチャートにのぼるような今どきのアラブ・ポップのサウンドは、欧米圏のそれに近い感じもするが、リズムが決定的に違う。リズムが「ドドンパドン」もしくは「チャカポコチャカポコ」である確率が非常に高いのだ。一聴して「お、洋楽っぽいじゃん」と油断していると、その背後にはチャカポコが潜んでいたりする。さらに、たとえ「ポップミュージック」であったとしても、コブシを利かせるのが定番の唱法のようで、そうなるともうポップスではなく、演歌のように聞こえてくる。日本の演歌を好きになる中東の人はたくさんいる、という話は本当のことだろう。

 以下、著作権の問題というのは常にあるだろうけれど、未知の音楽世界を知るためには必要不可欠な動画投稿サイトより。

 エジプト大衆歌謡のスーパースター、ハキームのナンバーを二曲。常に上げ上げハイテンションで音楽活動に励んでいるとおぼしき彼のミュージックビデオ視聴には、相当の体力と気力が必要……かもしれない。

Hakim: El Salamo Alikum
 パワフルなおっちゃん、ハキームの真骨頂、ドドンパドンなアラブ・ポップ。マサラムービーのごとき、エンタテイメントあふれるビデオクリップがとにかくすんばらしい。

Hakim feat. James Brown: LELA
 なんと、ファンクの帝王、ジェームス・ブラウンとの競演も果たしている。脳天を突き抜けるようなハイトーンボイスがこの人の持ち味ということらしいが、いわゆるクリアな高音ではない。ざらつきながらぐいぐい伸びていくのだ。すっこーんとは抜けずに、一緒に根こそぎ持ってかれる。そこがたまらない魅力。

Ahmed El Sherif: Sahran Maak El Leila
 レバノンのちょっぴりメタボなさわやかアニキ、アーメッド・エル・シェリーフのご機嫌なナンバー。ラテンとアラブ、違うようでいて実は非常に近いのだということを力ずくで納得させられた一曲。でもビデオクリップ中の踊りは、あくまでもベリーダンス風。近年のアラブ音楽は、「こってこて」とは一線を画し、欧米圏のロックやファンク、フラメンコの要素を取り入れることも盛んなようだ。
 で、この人は、多分「アイドル」という位置づけをされている、と思う。
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by terrarossa | 2009-02-28 03:07 | 音楽 | Comments(6)
Commented by 東風 at 2009-03-07 19:14 x
terrarossaさん、その後いかがですか?
アラブ・ポップ、ちゃんと聞いたことはないのですが、インドポップなどに通じるものがあるのでは、と思ってます。踊りたくなっちゃう、というか・・・。トルコや旧東欧イスラム地域の音楽に似てるのでしょうか。

そうそう、20年ぐらい前っていうのは、深夜にFMラジオのダイヤルをぐるぐる廻していました。時々おっそろしい日本語を使う海外の局にひっかかったりしませんでした?私、ドキドキしたものです。
Commented by terrarossa at 2009-03-08 15:22
東風さん、ごぶさたしてました!
右腕は相変わらず痺れてますが、なんというか、慣れてきちゃったという感じです。

アラブ・ポップは、西アジアや東欧、トルコ等の音楽と似てると言われれば似てると思います。当の国々の方々に「全然ちがうよ!」と猛抗議されそうですが、欧米人がアジア人の区別がつきにくいのと同じようなもんで、遠い国と国の音楽の細かな違いまではよくわかりません。

>おっそろしい日本語を使う海外の局
多分、FMではなくAMかと思います(FMの周波数では受信可能エリアが狭いので、海外放送までは入りません)。AMだと、近隣諸国の局が受信できます。日本語放送のサービスもあり、局によってはおっそろしい日本語のところもあります。実は中高生の頃、近隣諸国局の受信に血道を上げておりまして、「北京放送」に受信報告書を書き、ベリカード(受信報告書の受領カード)やカレンダーを送ってもらったことがあります。インターネットも携帯電話もなかった時代、見慣れぬ海外からの印刷物に、ひとり国際的感動(?)にひたっておりました。今となっては懐かしい話です。
Commented by うっちぃ at 2009-03-13 12:35 x
こんちはぁ。
イスラムの兄ちゃんとお付き合いしたことがあります。
酒を数回飲んだだけで深い仲になる前にお断りしちゃいましたが。
酒も肉もがんがんのなんちゃってムスリムでしたw
彼の濃ゆい顔立ち、なんか日本人にはない濃厚な性格はやっぱ強烈に覚えております。
一度、カラオケルームでウルドゥ語だったかでいきなり現地の歌を歌われました。(カラオケなしで)
テレビでたまに聞くコーラン詠唱と似ていましたねぇ。
あ、今思い出したオフラ・ハザの「シャダイ」ってアルバム持ってます。あれもイスラム圏でしたよね?
POPな曲想と不思議な音の言葉のミックスが結構好きでした。

しかし、terarossaさん、ほんとにディープですよねww
Commented by terrarossa at 2009-03-13 23:51
うっちぃさん、ようこそいらっしゃいました!
のっけからまたスゴイ事実を……ムスリムのお兄さんとおつきあいしていたとは。
私は中東方面へ行ったこともなく、まして、ムスリムの方で知り合いなどいないし、それと認識して目撃したことすらありません。
せいぜい映画を見たり、ネットで購入したCDをただ聴くくらいしかできてないので、バーチャルな次元でしかアラブに触れていない底の浅いミーハーです。でもいつか行ってみたいものです、アラビア語圏の国に……
ハキームのライブを見に行くのが夢です。でも歳とったら体力的にきつそうだな(笑)。

オフラ・ハザですか!なつかしいです。彼女、国籍はイスラエルだけどイエメン系のアラブ人なんですね。もう二十年くらい前かと思いますが、日本も「ワールド・ミュージック」のジャンルがクローズアップされるようになり、中東やアフリカのアーティストがたくさん紹介されました。その頃買ったCDがオフラ・ハザの「イエメン・ソングス」でした。彼女が若くして亡くなってからもう10年近く。早いものです。
Commented by eastwind-335 at 2009-03-15 15:52
>多分、FMではなくAMかと思います

そう、AMでした。FENを聴こうと思って、暗闇の中、手探りでダイヤルを廻してたんでした。
ペリカードって短波放送だけかと思っていたのですが、AMでキャッチしてもよかったのですね。中学や高校の頃、短波放送の入るラジオが欲しかったのですが、高くて親にねだることができず(バイトも家の方針でNGだったので←それだけ時間があれば部活や学校生活を楽しむように・・・と言う意味で、ですが)、勤めるようになった頃には、短波放送よりも衛星放送、そのうちインターネットになってしまって・・・。
Commented by terrarossa at 2009-03-16 03:18
東風さん、こんばんは。
短波ラジオ、高価でしたからね!中高生がちょっと小遣いを貯めたからって買えるような値段ではなく、私もずっとうちにあったAMラジオで海外放送を聴いておりました。ようやく短波ラジオを買えたのは、大学生になってからです。もっともその頃はBCLブームがすっかり終わってしまい、誰ともこの萌え萌え状態を分かち合うことができませんでしたが。とほほー。


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