2008年 04月 30日
フットボールとその周辺
 どうしたことか、突然フットボールの世界にどっぷりはまりこんでもう二年近くになる。
 きっかけは2006年のドイツ・ワールドカップだった。
 その年の4月に転勤、引っ越しし、不慣れな環境でイケイケドンドン仕事をしていたら風邪をひき、体調不良をなめてかかっていたところ、見事にこじれて長期化。医師からは休日は絶対安静と言い渡され、6月いっぱい、土日は家に引きこもる羽目に陥ってしまった。で、退屈してテレビをつけてみたらワールドカップの試合が。最初はぼんやり眺めているだけのだらけた観戦だったのだが、見ているうちにだんだん面白くなってきて、ついでにピッチで動いている選手のことをネットで調べてみたりして、ということを繰り返しているうちに、もう後戻りできないところまで「沈没」。
 
 そんなこんなで、沈没したての2006年9月、タイミング良くブルガリアへ。旅行自体は、フットボールにはまる以前に計画しており、その動機は、「ヨーグルトを食べに行く」という単純なものだったのだが(結果としては、ヨーグルト以上に、ピーマン・パラダイスなブルガリアであった)。

 ブルガリアの首都・ソフィアに着いたのは9月12日の深夜。ホテルに入っていくと、従業員のみなさんは仕事そっちのけでロビーのテレビに釘付けになっていた。しばらくこちらに気付く気配もない。「すいませーん」と声をかけつつテレビを覗くと、なんと、バルセロナ対レフスキ・ソフィアの試合が行われている最中だった。2006-2007年欧州チャンピオンズ・リーグのグループAといえば、イングランドのチェルシー、スペインのバルセロナという二大強豪に、ドイツのブレーメンというダークホースがひしめく厳しいグループ。レフスキ・ソフィア?……そういえば、(気の毒な)残りの1チームがそんな名前だったな、ということをその時になってやっと思い出した。そうか地元のクラブだったのか。
 そしてどしゃぶりのアウェーで、彼らはまさしくボロッボロに負けていたのだった。
 微動だにしないでテレビ画面を凝視する、眉間にしわの寄った従業員一同のモチベーションはこの時、地の底まで落ちていたに違いない。案の定、声をかけても彼らはなかなか動こうとしなかった。暗い表情のフロント係をせっついて、どうにかこうにかチェックインを済ませ、ブルガリア一日目の夜は更けたのだった……そういえば。

 ブルガリア滞在中、日本に関するニュースは全くといっていいほど入ってはこなかった。ただし、欧州のプロリーグでプレーしていた中村俊輔と高原直泰はしっかりテレビに登場。見事なゴールを決めて大きな声援を受けた模様が流れていた。なお、目撃した限りでは、メディアに登場していた日本人はこのふたりだけであった。
 テレビをつければ、いつもどっかのチャンネルでフットボールの番組が放映され、フットボール専門の新聞が何紙もあり、スター選手は想像を絶するレベルの大スター様扱い。ヨーロッパにおいて、フットボールは単なるスポーツではない。そんなことを肌で感じるような旅行でもあった。

 そう、何が面白いって、試合そのものもさることながら、フットボールの世界を取り巻く事情やその背景の奥深さにすっかり魅了されてしまったのだ。歴史に地理に宗教問題、社会情勢、それらがごちゃごちゃにからみあって行き着いた先にフットボールという競技がある。選手ひとりひとりが背負っている背景も複雑かつ多彩だ。なにせ世界のあらゆる地域で行われている、競技人口が半端でないスポーツだ。フットボールの世界を追っているだけで、あまりなじみのない国や地域の情勢を知ることができる。一気に世界が広まった、という気分にさせられる。それが今に至る「沈没」の最大の理由だ。
 そんな訳だから、ファンを名乗るにしてはあまりにも邪道と言わざるを得ず、従っていまだにコソコソとWebの波間を漂うばかりの日々なのである。とほほ。
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by terrarossa | 2008-04-30 04:24 | サッカー


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