2007年 12月 21日
アスパラガスをめぐる旅
 そもそもドイツへ行こうと思い立った理由の一つは、「ドイツのアスパラガスを見たい」と思ったから。
 ドイツで「アスパラガス」というと、一般的にはホワイトアスパラガスのことを指す(もちろん、グリーンアスパラガスもあるけれど)。
 国産のホワイトアスパラガスが出回るのは4月から6月まで。だが、ドイツへ行ったのは、アスパラガス的には完全オフシーズンの9月。できればホンモノのドイツ国産ホワイトアスパラが出回っている時に行きたかったのだが、その時期に仕事を休むことはできなかった。残念だが仕方ない。

 ドイツにおいてアスパラガスは、春の到来を告げる野菜として、特別な存在なのだという。収穫期間もきっちり決められており、6月24日の「聖ヨハネの日」以降は収穫しないことになっているそうだ。わざわざキリスト教の聖人にちなんだ日を収穫終了日に定めているあたり、アスパラガス栽培には、長年にわたる歴史的・文化的背景があることをうかがわせる。もっとも、「聖ヨハネの日」を収穫打ち切りとしたのは、栽培上、理にかなっているから、その日をうまく当てはめたのだろう。春に収穫するアスパラガスは、前年に根の部分に蓄えていた貯蔵養分を使って発生するのだが、その養分がちょうど6月中~下旬頃に切れるのだ。だから、この時点で収穫を打ち切ると同時に肥料を与え、この日以降発生した茎を伸ばして、わさわさ繁らせる。これを「株養成」と言い、アスパラガスは夏の間にせっせと光合成してエネルギー生産し、それを貯蔵養分として根に蓄えていく、という訳。近頃では、採りすぎを避け、より生産性を上げるため、6月24日以前に収穫を打ち切って株の養成に入るところも多いとのことだ。

 そんなドイツには、国内のあちこちに(ちょっと調べただけで6カ所も!)「アスパラガス博物館」なるものがあるという。ついでにいうと、「アスパラガス博物館」はドイツだけではなく、イタリアにもオランダにもあるんだそうだ。欧州の歴史と文化とアスパラガス。うーむ、やはりただの野菜ではないな。
 で、ドイツ行きにあたって、できればドイツ国内の「アスパラガス博物館」を全部訪れてみたいと思ったのだが、調べてみると、オフシーズンの9月でも開館していると確実にわかったのは、バイエルン州のシュローベンハウゼン(Schrobenhausen)にあるヨーロッパ・アスパラガス博物館(Europäisches Spargelmuseum)だけ。てか、ドイツは広いので、たとえ各地の博物館がオープンしていたとしても、一週間の日程では国内各地に散らばる博物館をハシゴするのは物理的にムリだ。ということで、旅行先はドイツ南部に決定と相成った。

 シュローベンハウゼンは、まず、ミュンヘン中央駅から電車で40分、アウグスブルグ郊外のAugsburg-Hochzoll駅まで行き、そこからインゴルシュタット行きのディーゼル列車に乗り換えて30分。ミュンヘンの北西約50㎞に位置する、城壁に囲まれた静かな町である。

 シュローベンハウゼンに到着したのは午前中。博物館の開館までだいぶ時間がある(7月~4月の開館時間は、毎週水、土、日の14:00~16:00のみ)。シュローベンハウゼンはバイエルン州屈指のアスパラガス大産地というのだから、当然畑があっちこっちにあるに違いない、と勝手に思いこみ、博物館開館を待つ間に、徒歩で畑探索を開始。
ところがアスパラ畑にはなかなか遭遇しない。
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アスパラ畑はどこだー!!


a0021929_2312999.jpg周囲1㎞四方は誰もいないんじゃないかという広大なフィールドを徘徊すること約1時間半。ついにアスパラ畑を発見。おお、ドイツのアスパラ畑だ!

 このアスパラガス、支柱無しでも倒れないよう、80センチくらいにカットしてあるし(そのままにしとくと2m以上は伸びる。ほんとは支柱を立ててできるだけ長く縦にキープしておいたほうが生産性が上がる)、9月も半ばということであちこち病気になっているし、雑草も生え放題。大面積を管理するのは大変そうだなあ。
 さらさらの軽い土なので、靴が汚れ、風が吹くと土ぼこりがブハーっと上がり、いがらっぽくなることこの上なし。でもこういう土質こそが、土の中から掘って収穫するにはたいへん都合が良いのだとみた(雨が降ったらべたべたになりそうだが)。

 畑を前にしてあれこれ感慨にふけっていたら、いつのまに博物館の開館時間近くになっていた。急いで町に戻り、博物館へ向かう。
 小さな博物館ながら、歴史、文化だけでなく、現在の栽培技術についても詳細に展示してあった。

a0021929_2331120.jpga0021929_2332964.jpgアスパラガスのためにつくられた、数々の調理器具や食器の展示。


a0021929_2335920.jpg昔の収穫風景を再現。土を盛って、うねをコテできちんと成形して、土のひび割れ具合からアスパラガスの位置を確認して掘り取っているようす。現在はこれらの作業が機械化されて、より大規模な経営も可能となっているとのこと。


a0021929_235314.jpg春にはここで、アスパラガス掘取り実演イベントなんかもあるそうだ。うーん、いつか見たいものだなあ。
今は静かに株養成中。

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by terrarossa | 2007-12-21 02:58 | アスパラガスをめぐる旅 | Comments(0)


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