2004年 06月 20日
橙色の夜
a0021929_44119.jpg 航空機の窓から初めてロンドンの夜景を眺めた時、それがオレンジ色だったのが、とりわけ印象的だった。ロンドンの夜はメチルオレンジ、暖色なのにひんやりと無機的で、あらゆるものの輪郭を際だたせる、低圧ナトリウムランプの色だ。
 「橙色の夜」はロンドンだけではなく、続いて訪れたスペイン、オランダ、ベルギー、ロシアも同様だった。ヨーロッパだけかと思っていたら、韓国も中国も夜のあかりは橙色。霧や煙などが発生しても物がはっきりと見え、しかも低コストという低圧ナトリウムランプが外灯に使われるのは、別に不思議なことではない。今まで訪れたことがある外国はそんなに沢山ではないから、推測の域を出ないが、もしかすると世界的には橙色の夜が標準で、白色の灯が圧倒的に多い日本の方が、特異的なのかもしれない。
 日本人は白い光を好むと言われている。そういえば外灯だけではなく、室内も蛍光灯のまばゆく白い光が圧倒的に多い。もっとも、日本でも高速道路やトンネルを中心に、以前からナトリウムランプは使用されていたし、最近は外灯に「橙色の灯」を使うところも増えてきた。蛍光灯も黄色みを帯びた「電球色」が売られるようになった。光の色に対する好みも少しずつ変わってきているのだろうか。
 が、そうは言っても、今のところ、日本の夜は圧倒的に白い光に満ちている。だから、海外へ行った時「ここは外国なんだ」と実感できる瞬間は、何と言っても夜。冴えたメチルオレンジの光に染まる街は、少なくとも見慣れた日本の夜の色ではない。
 そんなことばかり意識していたら、今では高速道路やトンネルの橙色の灯に遭遇するたびに、「ここは外国気分」を味わえるようになった。何はともあれ、安上がりでいい。
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by terrarossa | 2004-06-20 04:42 | 見聞録


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