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2005年 01月 24日
2004年に見た映画
 1月ももうすぐ終わるというこの時期になって、やっと2004年に見た映画を振り返ってみることにした。
 昨年は長・短編あわせて約100本の映画をスクリーンで見た。うち70本は映画祭等のイベントで見たもので、一日3本、4本の「ハシゴ」をすることもしばしば。土日の遠出でまとめて見ざるを得ない状況だったので、これは仕方ない。

 見た映画の内、4割が韓国映画だった。
 公開数が多かったこともあるが、面白そうと感じるからつい見に行ってしまう。結果的に「当たり」も多かった。勢いがある証拠だろう。そのあおりを食ってか、中国語圏の作品の公開数が少なくなってしまったのが残念だ。もっと見たいのに……
 
 スクリーンで初見の作品から、印象に残った映画10本を選んでみた。

◆ロードムービー(韓国)
 このブログでも書いたように、まさかスクリーンで見ることができる日が来るとは思ってもいなかったので、感激もひとしおだった。エンディングの音楽とラストシーン、エンドロールが恐いほどぴったり合って鳥肌もの。DVDで何度も見たはずなのに、またしても魂を抜かれた。会場内のあちこちから聞こえるすすり泣きで我に返る。

◆ビーイング・ノーマル(韓国)
 「韓国インディペンデント映画2004」で上映。男女両方の性を持つ友人との関係を赤裸々に描いたドキュメンタリー。衝撃のあまり、見た後はしばらく声も出なかった。両性具有者の「J」と大学で出会った監督は、「J」と共に過ごし、見つめ、話し合い、そのアイデンティティーを「わかろう」としてもがく。カメラの前でぶつかり合い、傷つけ合う二人。彼女は、破綻しかかった「J」との関係をもてあました挙げ句、撮影途中で一時「逃亡」してしまう己の弱さまでさらけ出している。ジェンダーとは何だろう。「ノーマル」とは、一体なんなんだろう。

◆エレファント(アメリカ)
 感想は以前書いたとおり。ほとんど予備知識もない状態で見て「はまった」作品。繰り返されるたどだどしい「エリーゼのために」が耳について離れない。

◆オアシス(韓国)
 噂には聞いていたが、噂通りだった1本。あまたの映画評、感想等で語り尽くされているとおりで言うこと無し(←めんどくさがるなよ)。

◆鉄西区(中国)
 かつて栄華を誇った瀋陽の重工業地帯と、そこに生きる人々を撮った9時間あまりの超大作ドキュメンタリー。腰や尻が痛むのも忘れ、身も心も「鉄西区」にもっていかれてしまった。中国はどこもかしこもスクラップ&ビルドなのか。過去を振り返る余裕なく、追いつけない者をかえりみることなく、ただ前へ前へ進んでゆくのみ。

◆スクール・オブ・ロック(アメリカ)
 理屈抜きで楽しめた1本。「ブラス!」や「花咲く春が来れば」のような楽団もの(ちょっと違うか?)の映画だが、バンドを指揮するリーダーが「いい人」じゃないところが良かった。終わり良ければ全て良し。ジャック・ブラック最高!

◆悪い男(韓国)
 なんだか巷では賛否両論のようだ。キム・ギドク作品はこれが初めてだったが、セックスに対する非常に強い執着を感じた。この手の作品はあまり好みではないのだが、なぜかこれはずどんときた。一種のファンタジーと受け取ったがどうか。主人公を演じるチョン・ジェヒョンの存在感が凄い。

◆パイラン(韓国)
 新作ではないが、「第14回にいがた国際映画祭」で初めて見た。そして映画祭から帰った後、DVDを即、注文。
まさにチェ・ミンシクの、チェ・ミンシクによる、チェ・ミンシクのための映画。彼がひとりむせび泣くシーンは、後世に残る名場面だろう。清らかなセシリア・チャンも良かったが、チェ・ミンシクの相棒を演じたコン・ヒョンジンがとても印象的だった。この人は実に色々な作品に出ているので、その活躍を見るのが楽しみな一人だ。

◆ジョヴァンニ(イタリア)
 「黒隊のジョヴァンニ」こと、ジョヴァンニ・ディ・メディチを描いた作品。ジョヴァンニはフィレンツェの名門、メディチ家の出身で、母親は「女傑」と呼ばれたカテリーナ・スフォルツァ。高校の頃、中世~ルネンサンス期のヨーロッパが好きで、関連資料や本を読みあさっていた時期があったので、なつかしい思いで見た。この映画については、後で書いてみたいと思う。

◆父、帰る(ロシア)
 ロシアに惹かれ、都合3回も訪れているのだが、そういえばロシア映画をちゃんと見たことはなかった。「父、帰る」は、様々な暗喩に満ちた映画だった。どこまで理解できたのかは極めてあやしいところだが、かつて実際に足を運んだ甲斐あってか、ロシア独特の「空気感」のようなものだけは、リアルに受けとめることができた。またロシアへ行きたくなってしまった。物語の舞台になったのはサンクト・ペテルブルグの北にあるラドガ湖だそうだが、そこまで車で何日もかけて行く彼らの家は一体何処なんだろう?地図を広げてあれこれ考えてしまう。架空の町かもしれないのに。

 こうしてみると、どーんと腹にたまりそうなシリアス作品ばかりだなあ(スクール・オブ・ロックは別として)。そして韓国映画強し。2005年はどうなるのか?
by terrarossa | 2005-01-24 06:50 | 映画


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