2004年 09月 23日
どっちにしてもパピヨン
a0021929_6463688.jpg 左の写真に写っているのは、「イチモンジセセリ」という、「セセリチョウ科」に属するれっきとしたチョウである。イチモンジセセリの幼虫は稲の害虫として有名。アゲハチョウ、モンシロチョウとともに最もよく目にする機会の多いチョウだが、よくガだと勘違いされている。翅の形そのものや、体に比して翅が小さく見えることが何だかとても「ガ」っぽいし、色彩の地味さ(茶の地色に白の斑点だしなあ)がいっそう「ガ」らしさを醸し出しているし。

a0021929_6475063.jpg で、こちらはイチモンジセセリよりももうちょっと派手な「サトキマダラヒカゲ」という、「ジャノメチョウ科」のチョウ。なお、本種はジャノメチョウ科の中では最も派手な部類に入ると思われる(ちょっと「ヒョウモンチョウ」っぽい)。ジャノメチョウ科のチョウは、形こそチョウに見えるが、その名の通り「蛇の目」、つまり翅に目玉模様を持ち、色彩は灰色~茶系ときわめて地味。しかも、日陰のうす暗ーい所で目撃されることが多い。よく下駄箱や階段の陰でクモの巣に引っかかりそうになりながらフラフラ飛んでいたりするので、せっかくチョウらしい形をしていても、色彩の地味さや目撃される場所(のイメージ)から、これまたガだと勘違いしている人も結構いるらしい。
 
 ここで、「ほんとはチョウなのに、ガだと勘違いされてなんか気の毒だなー」と、つい思ってしまうのは、やはり「チョウ」と「ガ」では天と地ほどのイメージの違いがあるからだろう。人間が勝手に区別しているだけで、当人(←という表現はなんかヘンだ)たちにとってはどうでもいいことなのだが、どちらに区別されるかによって当然扱いも違ってくるので、場合によっては生死を分ける事態になりうるかもしれないし(……というところまではいかないか?)。
 だが、意外にも、それだけイメージの違いがありながら、チョウとガを区別する定義は実ははっきりしていない。例えば、触角の形や色彩、翅を広げて止まるかたたんで止まるかなど、外形的な特徴の違いや、昼間飛ぶか夜飛ぶかなど、行動様式の違いが挙げられるが、必ず例外の種があり、明確な線引きをすることはできない。そもそも、チョウとガはわざわざ分類する必要もないくらい近い仲間で、言語によっては、チョウとガを区別していない場合もある。フランス語ではどっちも「パピヨン」だ。
 種類としては、ガの方が圧倒的に多い。日本産のチョウは237種ということだが、ガは5,535種もいるそうである。ずいぶんアンバランスな分け方をしたものだなあ、と思った次第。
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by terrarossa | 2004-09-23 07:00 | いきもの


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